保育士の研修・スキルアップを解説!
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#保育士の働き方
作成日 2020/03/05
更新日 2021/03/31
保育士の研修・スキルアップを解説!
保育士としてキャリアアップをするには、民間や国のさまざまな研修や資格取得などでスキルを高めることが重要です。
保育士資格は国家資格のひとつですが、保育士向けのさまざまな資格や研修制度があります。それらをうまく利用することで保育士としての専門性が高められ、さらにキャリアアップにつながるのです。
保育士としてのキャリアアップの方法や各種研修などについて、くわしく見ていきましょう。
目次 |
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保育士に求められているスキルアップについて
厚生労働省の発表によると、女性の就業率の高まりとともに、保育園を利用する子どもの数が右肩上がりに増え続けています。
それにともない、保育園に通う子どもたちにもさまざまなタイプが見受けられ、長時間子どもたちと一緒に過ごす保育士には幅広いタイプ・分野をカバーできるスキルや、専門性を備えたより高度なスキルが求められるようになってきました。
保育ニーズやスタイルなどの多様化が進んだ現代では、「自然遊びに力を入れている」「芸術分野のプログラムを取り入れている」「外国語をベースに保育」など個性的な保育園も増えています。
そのため、「音楽」「スポーツ」「外国語」などプラスαのスキルを持つ保育士は、就職の際や待遇面で有利であると言えるでしょう。
これらの理由などから、保育士資格に加えて「プラスαのスキル」を持ちたいと考え、スキルアップを目指す保育士が増加中しています。次の章からスキルアップにおすすめの資格や研修などについて、くわしく紹介していきます。
スキルアップに役立つおすすめの資格とは?
保育士のスキルアップのひとつに、実務に役立つ「資格取得」が挙げられます。数多くの資格のなかでも、とくに現場のニーズに対応するおすすめの資格をご紹介します。
絵本専門士
保育士のスキルアップで人気の「絵本専門士」は、2014年に設けられた国立青少年教育振興機構が認定する民間資格です。
子どもたちにとって言語力や感性、理解力の発達を促す絵本を通して、おもに「子どもの発達段階に応じた絵本の選定」「子どものこころに響く読み聞かせの技術」「子どもの興味を引く絵本制作」など、保育の現場ですぐに役立つスキルが身に付けられます。
また、絵本専門士は絵本の魅力を伝えるエキスパートとして、図書館や医療機関ではもちろんのこと、民間企業でも幅広く活躍できるおすすめの資格です。
絵本専門士は所定の講座を受講し課題を完了することで資格を取得できますが、2019年現在、講座は東京都渋谷区代々木でのみ開講されています。
●絵本専門士に関する諸情報
- 認定団体:絵本専門士委員会事務局(国立青少年教育振興機構 教育事業部企画課)
- 費用:65,000円
- 受講場所:東京都渋谷区代々木 国立オリンピック記念青少年総合センター
- TEL:03-6407-7715
リトミック指導者
リズム遊びやダンス、歌などを通して音楽の素養だけでなく、集中力や協調性もはぐくむ「リトミック」は、感受性など子どものさまざまな素養の向上に有効な手段として知られています。
「リトミック指導者」の資格取得には、資格認定団体が指定するカリキュラムを修了する必要があります。リトミックが「歌う」「演奏する」など実技に重きをおいた教育方法であるため、リトミック指導者になるためのカリキュラムは通学制の講座が中心です。
リトミック指導者の資格認定団体や講座は複数あり、代表的な団体・資格認定の費用や受講場所などは次のとおりです。
リトミック指導者の資格や講座に関する諸情報
※最新の情報と異なる場合があるので、詳細は公式ページにてご確認ください。
コース | 月例研修会(1年 ~ 4年)、教員養成校(2年)など |
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費用 |
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受講場所 |
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コース | リトミック講師養成講座・英語リトミック講師養成講座など |
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費用 |
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受講場所 | 全国各地 |
参考:NPO法人日本子ども教育センター「子ども教育センター認定リトミック講師」
コース | リトピュア式指導法基礎講座 |
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費用 | 13,000円 |
受講場所 | WEBで受講可能 |
参考:株式会社リトピュア「リトミックを使ったリトピュア式指導法 基礎講座 メールで学べる動画付通信」
資格種類 |
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※詳細は公式サイトをご覧いただくか、認定団体へお問い合わせください。
そのほか「こども環境管理士」「チャイルドマインダー」「運動保育士」「認定病児保育スペシャリスト」などさまざまな資格があります。興味を持った分野の資格について、まずは調べてみましょう。
資格取得以外のスキルアップ方法について紹介
資格の取得には費用も時間もかかりますが、スキルアップをするためには資格取得以外にもさまざまな方法があります。
コミュニケーション力とカウンセリングについて
コミュニケーション力は、保育士にとって大切な能力のひとつです。
子どもとのコミュニケーションはもちろん、子どもが安心して通える保育園づくりには、保護者や一緒に働くほかの保育士たちと良い関係を築き、保育園全体が良い雰囲気につつまれていることが大切です。
コミュニケーション力を高めるために「相手の話をしっかり聞く」「相手の立場で考える」「感謝の気持ちを伝える」、この3点をしっかり実践していきましょう。
また、子育てに不安や心配をかかえやすい保護者との良い関係を築くために、カウンセリングの技術があると役に立ちます。
カウンセリングとは、悩みを訴える人の相談に応じて精神医学の立場から助言や指導をすることです。
カウンセリングは有料の講座や通信講座などのほかに、勉強会への参加や本を読むなどさまざまな方法で技術を習得できます。まずは取り組みやすいところから始めてみましょう。
保育実技力について
保育実技のスキルアップも、現場で活躍するためには欠かせません。
音楽・造形・表現・言語・文字など、実際の保育活動に必要なスキルに磨きをかけていきましょう。たとえば、次のような内容に取り組むことで、スキルアップを図れます。
- 音楽:ピアノやキーボード、歌(発声方法)などの練習をする
- 造形:繰り返し作ったり、描いてみたりする
- 表現・言語:映像などを使って喜怒哀楽のような表現の方法を学ぶ、朗読会に参加して読み聞かせ方法を学ぶ
- 文字:ペン字・POP講座などで美しい文字やPOPなどが書けるようにする
英語力(外国語力)について
現代の日本においては外国にルーツを持つ子どもの数が増えています。在留外国人統計によると、2018年12月現在の0〜5歳の在留外国人数は約13万人で、6年前の2012年の約8万人と比較するとその数はかなり増えていることがわかります。
在留外国人の子どもの増加にともない、都市部を中心に外国語を母国語とする子どもが保育園へ入園するケースも増えています。
英語など多言語スキルを磨くことで、外国語を母国語とする子どもや保護者とのコミュニケーションが取りやすくなるでしょう。
それだけでなく、英語などの言語スキルがあると、日頃から子どもたちとの遊びに英語を取り入れることで、子どもが日本語以外の言語や他国文化に親しむきっかけを作れます。
英語(外国語)のスキルアップと言えば英会話(外国語)教室が思い浮かびます。
そのほかにもオンラインやアプリなどの学習ツールの活用、海外ドラマや映画を字幕なしで見るほかニュースを副音声で聞くなど、工夫次第でさまざまなスキルアップ方法があります。
なお、地域によっては中国語やスペイン語、ポルトガル語など、ほかの言語スキルが重宝されることもあります。地域の状況に合わせてどのような言語の習得するか検討するとよいでしょう。。
パソコンスキルについて
日々の保育園業務において、イベントの飾り付けやプログラム・おたより作り、画像加工などパソコンを使った作業は欠かせません。現在は「連絡帳はアプリで」という保育園も増えてきています。
保育園業務をスムーズにおこなうためにも、マイクロソフトオフィスのWord・Excel・PowerPointソフトはある程度使いこなせるようにしておきましょう。
パソコンスキルの習得には講座などへの参加も良い方法ですが、自分でパソコンを操作してみるうちにスキルは磨かれていきます。
日々の業務のなかでも、積極的にパソコンを使った業務に取り組んでいきましょう。
テンダーラビングケアサービスの研修について
「わたしの保育」を運営するテンダーラビングケアサービスでは、保育士の皆さまに保育の現場でよりいきいきと活躍いただけるよう、無料の保育研修をご用意しています。
保育の基本を学ぶ「基礎研修」や、「手遊び・わらべうた」や「身近な道具を使った手作りおもちゃ」など実践的なことを学べる「スキルアップ研修」をはじめ、さまざまな研修をご用意しております。
詳細は以下リンクにてご確認ください。
保育士等キャリアアップ研修の受講もスキルアップにおすすめ!
保育士のキャリアをサポートする目的で、2017年に「キャリアアップ研修制度」が設けられました。保育士としてのキャリアアップを目指すなら、「保育士等キャリアアップ研修」の受講もおすすめです。
キャリアアップ研修についてくわしく見ていきましょう。
キャリアアップ研修とは?
2017年にスタートしたキャリアアップ研修は、正式には「保育士等キャリアアップ研修」と呼ばれ、保育士経験がおよそ3年以上の人を対象とした昇格・処遇改善のための研修です。
保育士がキャリアアップを図りやすいよう、目的ごとに指針を決めて実施します。
従来、保育園では一般保育士のほかには「主任」「園長」のポストのみで、一般保育士と役職者の二極化状態となっていました。
2017年からは一般保育士と主任の間に、園によって名称は異なるものの「職務分野別リーダー」「専任リーダー」「副主任保育士」という役職が追加され、これら新しい役職へのキャリアアップをサポートするための研修が「保育士等キャリアアップ研修」です。
保育士等キャリアアップ研修には、「乳児保育」「幼児保育」「食育・アレルギー対応」「マネジメント」などさまざま研修分野があります。
研修分野は全部で8つ!分野別研修内容は?
キャリアアップ研修には次の8つの研修分野があります。
それぞれの分野における研修のねらいや具体的な研修内容例を、厚生労働省の資料より抜粋してご紹介します。
分野(1)乳児保育(主に0 ~ 3歳)
●ねらい
乳児保育に関する理解を深め、適切な環境を構成し、個々の子どもの発達の状態に応じた保育を行う力を養い、他の保育士等に乳児保育に関する適切な助言及び指導ができるよう、実践的な能力を身に付ける。
●具体的な研修内容例
- 乳児保育の役割と機能
- 乳児保育の現状と課題
- 乳児保育における安全な環境
- 保育所保育指針について
- 乳児の発達と保育内容
- 1歳以上3歳未満児の発達と保育内容
- 全体的な計画に基づく指導計画の作成 など
分野(2)幼児教育(主に3歳〜)
●ねらい
幼児教育に関する理解を深め、適切な環境を構成し、個々の子どもの発達の状態に応じた幼児教育を行う力を養い、他の保育士等に幼児教育に関する適切な助言及び指導ができるよう、実践的な能力を身に付ける。
●具体的な研修内容例
- 幼児教育と児童福祉の関連性
- 幼児期にふさわしい生活
- 遊びを通しての総合的な指導
- 一人一人の発達の特性に応じた指導
- 資質と能力を育むための保育内容
- 個々の子どもの発達の状況に応じた幼児教育
- 小学校教育との接続 など
分野(3)障害児保育
※わたしの保育では、「しょうがい」の表記について「障がい」の表現を通常用いています。しかし、厚生労働省の定める研修名などが「障害」の表記を用いている為、以下ではそれに準じて「障害」にて表記しております。
●ねらい
障害児保育に関する理解を深め、適切な障害児保育を計画し、個々の子どもの発達の状態に応じた障害児保育を行う力を養い、他の保育士等に障害児保育に関する適切な助言及び指導ができるよう、実践的な能力を身に付ける。
●具体的な研修内容例
- 障害のある子どもの理解
- 医療的ケア児の理解
- 合理的配慮に関する理解
- 障害児保育における個々の発達を促す生活と遊びの環境
- 障害のある子どもと保育者との関わり
- 障害のある子どもと他の子どもとの関わり など
分野(4)食育・アレルギー対応
●ねらい
- 食育に関する理解を深め、適切に食育計画の作成と活用ができる力を養う
- アレルギー対応に関する理解を深め、適切にアレルギー対応を行うことができる力を養う
- 他の保育士等に食育・アレルギー対応に関する適切な助言及び指導ができるよう、実践的な能力を身に付ける
●具体的な研修内容例
- 栄養の基本的概念と栄養素の種類と機能
- 食事摂取基準と献立作成
- 食育のための環境(他職種との協働等)
- 第三次食育推進基本計画
- アレルギー疾患の理解
- 食物アレルギーのある子どもへの対応
- アナフィラキシーショック(エピペン の使用方法を含む)の理解と対応 など
分野(5)保健衛生・安全対策
●ねらい
- 保健衛生に関する理解を深め、適切に保健計画の作成と活用ができる力を養う
- 安全対策に関する理解を深め、適切な対策を講じることができる力を養う
- 他の保育士等に保健衛生・安全対策に関する適切な助言及び指導ができるよう、実践的な能力を身に付ける
●具体的な研修内容例
- 子どもの発育・発達の理解と保健計画の作成
- 個別的な配慮を必要とする子どもへの対応(慢性疾患等)
- 事故防止及び健康安全管理に関する組織的取組
- 体調不良や傷害が発生した場合の対応
- 救急処置及び救急蘇生法の習得
- 災害への備えと危機管理
- 教育・保育施設等における事故防止及び事故発生時の対応のためのガイド など
分野(6)保護者支援・子育て支援
●ねらい
保護者支援・子育て支援に関する理解を深め、適切な支援を行うことができる力を養い、他の保育士等に保護者支援・子育て支援に関する適切な助言及び指導ができるよう、実践的な能力を身に付ける。
●具体的な研修内容例
- 保護者支援・子育て支援の役割と機能
- 保育所の特性を活かした支援
- 保護者の養育力の向上につながる支援
- 保護者に対する相談援助の方法と技術
- 保護者に対する相談援助の計画、記録及び評価
- 地域の子育て家庭への支援
- 虐待の予防と対応等
- 虐待の事例分析 など
分野(7)マネジメント
●ねらい
主任保育士の下でミドルリーダーの役割を担う立場に求められる役割と知識を理解し、自園の円滑な運営と保育の質を高めるために必要なマネジメント・リーダーシップの能力を身に付ける。
●具体的な研修内容例
- 保育所におけるマネジメントの現状と課題
- 関係法令、制度及び保育指針等についての理解
- 保育所におけるリーダーシップの理解
- 職員への助言・指導
- ICTの活用
- 職員のメンタルヘルス対策 など
分野(8)保育実践
●ねらい
子どもに対する理解を深め、保育者が主体的に様々な遊びと環境を通じた保育の展開を行うために必要な能力を身に付ける。
●具体的な研修内容例
- 子どもの感性を養うための環境構成と保育の展開
- 子どもの発達に応じた援助方法に関する実践方法
- 身体を使った遊びに関する実践方法
- 言葉・音楽を使った遊びに関する実践方法
- 物を使った遊びに関する実践方法
ぞれぞれひとつの分野を2 ~ 3日に分けて15時間以上受講します。また専門リーダー・副主任保育士を目指すためには4分野の受講が必要となり、なかでも副主任保育士はマネジメント研修の修了が必要です。
キャリアアップ研修の受講対象者
キャリアアップ研修は原則としてだれでも受講できるとされていますが、1 ~ 2年目の経験が浅い保育士は、まずは現場で基本を学ぶべきとされ、おおむね「経験が3年以上の保育士」を対象としています。
キャリアアップ研修には、先に紹介したさまざまな分野の講座があり、受講分野は自由に選択できますが、目指すキャリアによっては受講に経験年数の目安があるものや、受講が必須の分野があります。
目指すキャリア別の研修対象者と概要
●職務分野別リーダー
- 対象者:経験年数概ね3年以上
- 研修内容など:担当する職務分野研修を修
- 待遇:5,000円/月の処遇アップ
●専門リーダー
- 対象者:経験年数概ね7年以上(職務分野別リーダー経験者)
- 研修内容など:4つ以上の分野の研修を修了
- 待遇:最大40,000円/月の処遇アップ
●副主任保育士:
- 対象者:経験年数概ね7年以上(職務分野別リーダー経験者)
- 研修内容など:マネジメント+3つ以上の分野の研修を修了
- 待遇:最大40,000円/月の処遇アップ
キャリアアップ研修を受けるメリットとは?
保育士等キャリアアップ研修を受けることで、昇格・昇給のチャンスを得られるというメリットがあります。
ただし、研修修了者全員が昇格・昇給の対象者ではありませんので注意しましょう。職務分野別リーダー、専門リーダー、副主任保育士のそれぞれのポストに就ける人数の割合は、保育園全体の職員数で決まっています。
たとえば、職務分野別リーダーは、保育園全体の職員から園長・主任保育士を除いた人数の1/5までと決まっています。
保育園の職員が22人いる場合、そこから園長・主任を除いた20人の1/5である4人までが職務分野別リーダーの発令を受けられる対象です。専門リーダー・副主任保育士は園長・主任保育士を除いた全職員数の1/3が対象者となります。
昇格や昇給のメリットのほかに、全国共通であるキャリアアップ研修は、引っ越しなどによる転園や、転職・復職などの際に有利です。さらに、研修の受講で専門知識が深まるなど、さまざまなメリットがあります。
資格取得や研修を活用し、保育士としてキャリアアップを
保育士のキャリアアップには、保育の現場で役立つさまざまな資格について調べるところから始めてみましょう。気になる資格があれば、ぜひ前向きにチャレンジしてみてください。
資格取得には時間も費用もそれなりにかかりますが、一度取得してしまえば将来的に長期間の活用が可能であり、転園や転職の際にも有利です。
また、2017年度からスタートした国の保育士等キャリアアップ研修整備によって、やる気のある保育士には昇給・昇進のチャンスが広がっています。日常業務のモチベーションにもつながる研修を前向きに検討し、保育士としてのキャリアアップを目指していきましょう。
「わたしの保育」を運営するテンダーラビングケアサービスは、保育のお仕事専門の人材紹介会社として、多くの保育士さんのサポートを行なっています。
お仕事のご紹介だけでなく、スキルアップに役立つ無料の保育士向け研修もご用意しています。まずは、無料ご相談フォームからご相談ください。
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監修者 PROFILE
和氣 タイ子 Waki Taiko都内の認可保育園にて園長経験7年、保育経験のべ30年以上のベテラン保育士。現在は研修など人材育成に注力。