ひな祭りと保育園の春の食
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COLUMN
#日々の保育
作成日 2023/03/02
更新日 2023/03/06
ひな祭りと保育園の春の食
目次 |
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はじめに
テンダーラビング保育園の給食室の献立では、季節にちなんだメニューを展開しています。
季節感のある食事を味わうことで、その季節の伝統的な行事を子ども達が体験し、「豊かな心」をはぐくんでほしいという願いがあります。このコラムでは、ひな祭りと食についてご紹介します。
ひな祭りの由来や歴史
ひな祭りは、とても歴史ある日本の伝統的な行事です。女の子の健やかな成長を祈る年中行事ですが、時代や地域によりさまざまないわれや説があります。
昔は子どもこどもの死亡率も高く、健やかに育つということが難しかった時代がありました。今のように優雅にお人形を飾り鑑賞するスタイルに至る前は、その形も今とは少し違っていました。まずは一般的な由来や意味を紹介します。
ひな祭りの由来 起源は中国
元々ひな祭りは、中国から伝わった上巳(じょうし)の節句という風習だったといわれています。
中国で3月3日は上巳という特別な日とされており、人形に息を吹きかけることで自分のけがれを移し、水に流す風習がありました。中国の上巳の節句の風習は平安時代に日本に伝わり、ひな祭りとして徐々に定着していきます。
江戸時代に女の子の行事として定着
当初は、男女共通の行事として親しまれていました。しかし、江戸時代のころに雛遊び(ひいな遊び)というお人形遊びが女性の生活に浸透していたことなどから、幕府が3月3日を「ひな祭り」として、女の子の健やかな成長と健康を願う行事に決めたといわれています。
ひな人形の変遷
平安時代には人形を川に流す風習があった
桃の節句が始まったばかりの平安時代は、草やわらで作った人形に自分のけがれを乗せ、身代わりとして川に流す「流し雛(ながしびな)」が主流でした。流し雛は、子どもの無病息災を願い、災いや厄を払いのける意味もあったといわれます。現在でも、ひな祭りに子どもの健やかな成長を願って流し雛を行っている地域があります。
室町時代にはひな人形を飾るように
「ひいな」とは「小さな・愛らしい」という意味がありますが、流し雛とともにひな人形を使って遊ぶ「雛遊び(ひいな遊び)」が流行したことで、人形作りの技術が向上しました。室町時代になると、人形を川に流すのではなく飾って祝うようになり、現在のひな祭りに近づいていきます。
ひな人形には厄除けの意味が
水に流す「流し雛」では、災いや厄を水に流し身を清めるために、人の形をした紙や人形が使われていました。時代とともに飾って楽しむ「雛遊び」に移行しましたが、「ひな人形が災いの身代わりになってくれる」という厄よけの意味があることに変わりはありません。ひな人形は持ち主を守ってくれるということから、江戸時代の上流階級では嫁入り道具のひとつとされていました。
保育園でのひな祭り
「楽しいひな祭り♪」の歌とともにお祝いが始まると、普段は活発な子もお雛様の前に集まります。静かに座って眺めたり、背伸びをしてのぞき込んだりと、この時ばかりは大人びた表情を見せてくれます。
保育園で飾られたひな人形をみて、子どもたちは自分なりにいろいろなことを感じ取っていきます。美しい着物の衣装から日本ならではの美しい色あいを感じたり、飾り菱餅から季節の移り変わりを眺めたりして、ひな祭りの一日を心豊かに過ごします。
ひな祭りの工作
ひな祭りが近づくと、工作で子どもたちがひな人形を作る園も多いでしょう。
テンダーラビングケアサービスのある保育園では、保育士の先生が作ったお雛様を使って「吊るし雛」にしています。お部屋に飾れば、春の風にのってゆらゆらとお人形が揺れる様に見入る子どもの姿が見られます
乳児クラスさんでは、世界にひとつしかない子供たちそれぞれのお人形をつくります。子どもたちの手形・足形をとり、その上にお顔の写真をつけ、着物と扇子も加えると、一生に一度しか作れないお雛様とお内裏様が完成します。なんと可愛らしいのでしょう!
保育園の春の食事~ひな祭り編~
保育園で人気のレシピをいくつかご紹介します。
ひな祭り寿司
行事で欠かせないお寿司は、大人気。保育園のお寿司の味についてご家庭でお話する機会があれば、子どもたちが保育園と家庭をつないでくれます。
<材料 一人分>
米45g・酢3g・砂糖1.5g・塩0.5g・人参8g(千切り)・干椎茸1.0g(水につけて半分にスライス)・だし汁15g・砂糖2g・醤油1.5g・鮭20g・食塩0.1g・コーン缶5g・絹さや5g(細切り)
- 酢・砂糖・塩を鍋に入れ、沸騰させる
- 人参・干椎茸をもどし汁・砂糖・醤油で柔らかく煮て冷まし、ザルにあけて汁気を切る
- 鮭は塩をふり焼いてほぐし、コーン缶・絹さやは茹でてザルに上げて水気を切る
- 炊いたご飯に1.を混ぜて酢飯を作り、2.と鮭を混ぜこんでから、コーン缶・絹さや・白ごまを散らす
2色ゼリー(豆乳ゼリーといちごゼリー)
冬と春、2つの季節を表現することで、目でも楽しめます。
<材料 一人分>
豆乳ゼリー用:水15g・粉寒天0.3g・砂糖3g・豆乳25g
いちごゼリー用:水15g・粉寒天0.3g・砂糖4g・いちご20g
- 豆乳ゼリー
- 水に寒天を入れて良くかき混ぜて火にかけ、途中で砂糖を加えながら沸騰後2分位煮る
- 豆乳も加え、更によく混ぜる
- 型に入れて、粗熱がとれたら冷蔵庫に入れて冷やす いちごゼリー
- いちごはヘタを取って洗い、フードカッターにかけてペースト状にしておく
- 水に寒天を入れて良くかき混ぜて火にかけ、途中で砂糖を加えながら沸騰後2分位煮る
- 4を入れてよく混ぜて、粗熱が取れたら、固まった豆乳寒天の上に流し入れて、冷蔵庫で冷やす
保育園の春の食事~春野菜編~
彩りきんぴら
<材料 一人分>
ごぼう(半分にして斜め切り)15g・人参(短冊)10g・油1.0g・だし汁15g・醤油1.5g・砂糖1g・黄ピーマン8g・ピーマン8g(太めのスライス)・白ごま0.5g
- 熱した油でごぼう・人参を炒めてだし汁で煮て、黄ピーマン・ピーマンは別で茹でおく
- 調味料を加えて味を調えて、水分を飛ばすように火にかけ、茹でた黄色ピーマン・ピーマン・白ごまを加える
にらのまぜごはん
<材料 一人分>
米45g・豚ひき肉12g・にら(1㎝位)8g・醤油1g・砂糖1g
- だし汁と調味料で豚ひき肉を煮て、にらを加えて水分を飛ばすように煮る
- 炊いたご飯と1を混ぜて味を調える
春野菜といえば ごぼう
ごぼうは栽培するもの?野生のもの?
日本では野菜として栽培されたごぼうを食べていますが、実はこれは日本のみ。ヨーロッパではハーブ・中国では漢方薬として野生のものを利用しています。日本食の総菜でもっとも有名なごぼう料理といえば、「きんぴらごぼう」ですね。
きんぴらの語源
「きんぴら」は、マサカリ担いだ金太郎こと坂田金太郎の息子である坂田金平(さかたきんぴら)が語源です。坂田金平は人形浄瑠璃(当時の音楽劇)で主役を演じた架空の人物。悪者や化け物を、豪快につぎつぎと退治していく勇ましい姿が江戸で人気がでて、有名になりました。そこから強くて丈夫なものを表す言葉として「きんぴら」が当てられ、食材以外でも金平糊(きんぴらのり)や金平足袋(きんぴらたび)などで使われています。
料理としてのきんぴら
料理としての「きんぴら」は、材料を甘辛く炒めて作る東京の郷土料理です。春のごぼうはやわらかくて食べやすいので保育園でも子どもたちも喜んで食べてくれます。これを食べたら、みんなが元気に丈夫になってくれることまちがいなし。こんなすてきな伝統のある日本料理をぜひお試しください。(農林水産省 うちの郷土料理 東京 次世代に伝えたい大切な味より一部抜粋・要約)
さいごに
テンダーラビング保育園は、保育や給食の先生たちが心をこめ、こどもたちに温もりのあるひな祭り行事を展開しています。どのお部屋も素敵な時間であふれています。皆様の園ではいかがでしょうか?
お母さんも保育士の先生も飾りや料理を頑張りすぎず、健やかな成長を祈るための楽しい時間となるように笑顔でお過ごしくださいね。
「わたしの保育」を運営するテンダーラビングケアサービス では、保育士向けに保育の現場で役立つ無料の研修を随時行なっています。
適切な保育のための知識や、子どもたちを喜ばせるレパートリーを増やしていただくためのサポートをさせていただければと思いますので、ぜひご参加ください。
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監修者 PROFILE
二瓶 敦子 Nobuko Nihei博士(学術)・管理栄養士・HACCPコーディネーター・栄養教諭
保育園給食の責任者として10年勤務。現在もテンダーラビング保育園本部で保育園給食の責任者として従事し、日々、安心・安全な給食づくりに取り組む。
レシピ:小澤・土田