保育現場で役立つ子どもの夏バテ予防
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#子どもの心と体
作成日 2022/08/08
更新日 2022/08/12
保育現場で役立つ子どもの夏バテ予防
目次 |
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夏バテとは
気温や湿度が高くなる夏は、「体がだるい、食欲が落ちる」などの不調を感じやすくなる季節でもあります。この夏の暑さによる体調不良の総称を「夏バテ」と呼びます。
古くは万葉集にも夏やせという言葉が出てくるほど、日本人は昔から「夏バテ」に悩まされてきました。夏バテは体の消化機能を低下させ、食欲不振に陥らせてしまいます。近年では夏にやせる「夏やせ」や、運動量の低下や水分代謝がうまくいかない「夏太り」もあり、夏負けしない身体をつくることが肝心です。
子どもの夏バテはどんなときにおきやすいのか
食事と睡眠のどちらか(または両方)に問題があると、夏バテはおきやすくなります。
子どもの生活リズムは 食べる・寝る・遊ぶの3つで成り立ちますが、夜きちんと寝られていないと、食事にも影響が出るなど、互いが影響し合います。朝食はしっかりととって、元気よく毎日を過ごしてほしいですね。
子どもの夏バテ予防で大切なこと
水分補給と栄養補給のバランスが取れていることが重要です。水分は、食事でも多く摂取できます。特にごはんは6割が水で構成されていますので、食事をとることで、水分と栄養の両方を無理なく身体に取り込むことができます。
どのように食べるか よく噛むということを消化から考えてみる
乳幼児期の子どもたちは、消化器官の発達途中です。きちんとした食事をよく噛んでとり、消化を促すことが大切です。
早食いの問題
「何を食べるか」は話題になりやすいですが、「どう食べるか」を意識したことはありますか?
消化には、口の中でしっかりと噛んで消化する「物理的消化」と、胃の中で胃酸や酵素等と一緒に加水分解する「化学的消化」の2段階があります。胃に負担をかけないようにという観点からも、よく噛んで食べることがとても大切です。食事時間が短い早食いは消化が悪く、胃に負担がかかったり、お腹が痛くなったりする場合もあります。「何を食べるか」に気を遣っていても、きちんと消化されなければ、身体に負担がかかり価値が半減してしまうのです。
なぜ子どもの早食いは起きるのか
子育てとお仕事を両立しているご家庭が、勤労世代の大部分を占めるようになりました。毎日は忙しく、常に時計とにらめっこ。食事は19時までに、その後は洗濯をしてと、時間に追われて生活されていることでしょう。
子どもの食事は、一緒に食べる人に大きく影響されます。保育現場でも家庭でも、元気の良い・手がかからない・さっさと食べる「いい子」であるほど、早食いの割合が高いと感じています。みなさまの園やご家庭ではいかがでしょうか?
みんなで早食いを防ぐためには
かつて、よく噛むことを推奨して「30回咀嚼しましょう」と言われた時もありました。でも、30回を数えながらの食事はおいしいでしょうか?
筆者は「食事中に、箸やスプーン・フォークなどの食具を置く癖をつけてみてはいかがでしょうか?」と、おすすめしています。手が食具から離れることができれば、噛むことに集中し味わうことができます。子どもたちには、大人のその姿を見せる機会をつくることが大切です。「箸置き」を使ってきた日本人は、もともとこのように食べる文化が備わっていたはずですね。
この夏、胃腸に負担をかけない食べ方を、ぜひ身につけていただければと思います。
どのように水(分)をとるか
子どもは、体重に占める体液の割合が70-80%程度です。また、1日の体液の入れ替わりもおよそ半分に達します。そのため、新陳代謝が高い子どもは大人以上に脱水のリスクが高く、大人以上にこまめに水分を摂取することが大切になります。
「こまめに」の具体例として下記を参考にしてください。
- 起床時・就寝時
- 食事とおやつのとき
- 出かける前と帰宅時
- 運動前と運動後
- 入浴前と入浴後
1回に摂取する水分は、乳児は50~100㎖ 幼児は100~150㎖ を目安にしてください。
子どもの夏バテ予防方法
まずは朝食をしっかりとることから始めましょう。食事全体での注意点は以下の通りです。
夏バテを予防する食事のポイント
偏った食事をしない
あっさりした食事ばかりでは、スタミナ不足になります。栄養バランスのとれた食事をしましょう。疲労回復には、ビタミンB1とアリシンを多く含む食品を一緒にとると効果的です。
ビタミンB群・Cを多くとる
夏バテ予防や疲労回復に効果的な、ビタミンB群やCが多い食品をとりましょう。夏の太陽を浴びた緑黄色野菜は、カロテン、ビタミン、食物繊維、カリウムなどのミネラルが多く含まれています。旬の夏野菜を取り入れましょう。
冷たくて甘いおやつ・飲みものをとりすぎない
胃に負担がかかるので、冷たいものばかりを食べないようにしましょう。
夏バテ予防に効果的な食べ物
疲労回復に役立つ【ビタミンB.良質たんぱく質】
豚肉/うなぎ/カツオ/卵/大豆/玄米/モロヘイヤ/ゴマ など
疲労回復効果を高める【アリシン】
にんにく/ねぎ/玉ねぎ/ニラ/らっきょう など
免疫力を高める【ビタミンC】
トマト/ゴーヤ/レモン/大葉/キウイフルーツ など
代謝がよくなる・食欲増加【香辛料】
わさび/こしょう/とうがらし/しょうが など
おすすめレシピ
夏野菜の味噌汁
<材料>
冬瓜・南瓜・なす・オクラなどの夏野菜
豚肉・油揚げなどのたんぱく質源の食材
だし汁(適量)
味噌(適量)
- 好きな形に切り、煮えにくいものから順に煮て火を通し、味噌を加えて味を調える
冷やし肉みそうどん
<材料 調味料は3歳児1人分>
ピーマン・赤ピーマン
南瓜・豚ひき肉・玉ねぎ・うどん
A)酒1・みりん1・砂糖1
B)だし汁120・みりん3・醤油3
- 麺は茹でて食べやすく切る
- Bで汁を作って冷ます
- Aを合わせておく
- 熱した油で肉、玉葱、南瓜、赤ピーマン・ピーマンを炒めて分量外の少量の水を入れて煮る
- 火が通ったら3を入れて味を調える
- 器に麺→2の汁→5の順に盛る
さいごに
暑い時こそ、栄養バランスのよい食事と休養をしっかり摂り、子どもも大人も体力をつけて夏を乗り切りましょう。
「わたしの保育」を運営するテンダーラビングケアサービス では、保育士向けに保育の現場で役立つ無料の研修を随時行なっています。
適切な保育のための知識や、子どもたちを喜ばせるレパートリーを増やしていただくためのサポートをさせていただければと思いますので、ぜひご参加ください。
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監修者 PROFILE
二瓶 敦子 Nobuko Nihei博士(学術)・管理栄養士・HACCPコーディネーター・栄養教諭
保育園給食の責任者として10年勤務。現在もテンダーラビング保育園本部で保育園給食の責任者として従事し、日々、安心・安全な給食づくりに取り組む。