保育園における事故防止 -2,461という数字から-
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#日々の保育
作成日 2022/07/29
更新日 2024/05/07
保育園における事故防止 -2,461という数字から-
目次 |
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2,461件とは
2,461件。この数字は、2022年に教育・保育施設で発生した重篤な事故等の件数です。ここでいう重篤な事故等とは、死亡事故・治療に要する期間が 30 日以上の負傷や疾病を指しますので、文字通り大変な事故が1年間で2,461件も起きてしまったのです。
こども家庭庁「教育・保育施設等における事故報告集計」の公表等について 令和4年
2,461件の内訳
死亡事故は5件、それ以外の事故は2,456件(うち1,897件が骨折)でした。
場所別では、施設内が2,186件(うち施設内の室外が1,257件)、施設外が274件となっています。
保育士の不安
死亡事故が5件というのは、平成16年からの集計で最低数ではあります。でも、到底喜べません。5人の子どもが命を落としてしまったという事実を前に、痛ましい気持ちとともに「自分たちの施設は大丈夫か?」と心配になる方も多いのではないでしょうか。
リスクを排除・最小限にするためにどうすべきか
保育施設において、子どもの怪我や事故はどうしてもついて回るものです。しかし、それを当たり前とあきらめず、全ての保育士が子どもの命を守るために日々現場で奮闘しています。
では、リスクを排除・最小限にするためにはどうすべきでしょうか。
子どもの発達を理解する
子どもの発達には個人差があり、一人ひとりできること・できないこと・援助が必要なこと・必要ないことが異なります。そしてその発達は、日々変化していきます。子どもとの関わりの中で発達を理解し、活動や環境を考えていく必要があります。
子どもの動きを予測する
子どもの発達を理解して性格や特性がわかると、子どもの次の動きが予測できます。そして、予測することはとても重要なことです。
- Aちゃんに玩具を用意すると
- どうやって遊ぶか?
- 興味を持つか?
- 興味を持たないで他のことをするか?
- 保育士のところにくるか?
など動きを予測し、実際にその動きが見られたらどのように援助するかシミュレーションするのです。
この予測に対して、臨機応変に対応できる引き出しを多く用意し、有効なリスクマネジメントにつなげていきます。
観察して援助する
活動中は子どもの動きや様子をしっかり観察し、必要な援助をします。子どもの行動が予想外なときや危険を感じたときは、一度活動を止めるなどのクールダウンが必要です。
次に繋げる
活動後は振り返りを行ない、反省点を洗い出します。より安全に活動するにはどうしたらよいかを考え、次の活動に繋げます。
リスクマネジメントに必要なこと
共有する
日々の保育の中で「危ない(ヒヤッとした、ハッとした)」と感じたことをヒヤリハットとして記録し、保育士間で共有しましょう。小さなリスクが大きくなる前に行なうことで、リスク排除の一助となります。
「いつもと違う」に気を付ける
子どもの体調や保育士の体制など「いつもと様子がちがう」は危険信号です。より注意して、子どもを見守りましょう。
「新しいこと」のリスクを知る
新しい玩具や活動・初めて過ごす場所など、「新しいこと」は多くのリスクがあります。そのため、準備は念入りに段階を踏んで少しずつ実施します。子どもの様子をしっかり把握したうえで進めていくことが大切です。
悪い例
計画にない活動をする → 準備がされていない → 子どもの動きを予測できない → 不測の事態に対応できない → 事故が起こってしまう
大変危険なことがわかりますね。
さいごに
ひとりだけが安全に気を付けていても、職場全体の意識が同じ方向を向いていないとリスクは残ります。ひとりで無理をせず全員で安全に向けて取り組み、2,461件という数値が0に近付くように日々心掛けたいものです。「子どもも保育士も無理しない」を合言葉に、安全に子どもの成長を見守りたいですね。
また就職や転職を考えている方は、同僚や上層部の安全に対する意識、保育士の配置人数に対する考えなども、職探しのポイントに入れてみてはいかがでしょうか?安全に向けて努力している園を探しているけれど、どう選んだら良いのかわからないという方は、ぜひ私たちにも相談してください。
「わたしの保育」を運営するテンダーラビングケアサービス では、保育士向けに保育の現場で役立つ無料の研修を随時行なっています。
適切な保育のための知識や、子どもたちを喜ばせるレパートリーを増やしていただくためのサポートをさせていただければと思いますので、ぜひご参加ください。
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監修者 PROFILE
清水 永真 Eima Shimizu認可保育園にて5年間保育士として勤務後、テンダーラビング保育園本部で保育園の運営管理業務に従事。日々、保育の質向上に取り組んでいる。