保育士の採用試験って?公立と私立の違いは?内容と対策をご紹介!
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#保育士の働き方
作成日 2020/03/17
更新日 2021/03/31
保育士の採用試験って?公立と私立の違いは?内容と対策をご紹介!
保育士になるためには、まず保育士資格を取得する必要がありますが、それだけで働き始められるわけではありません。保育園の採用試験に合格し職場が決まることで、晴れて保育士として働けるのです。
今回は、保育士の採用試験について公立と私立の違いや具体的な内容や流れを確認し、出題傾向や対策を考えていきましょう。
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目次 |
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保育士の採用試験って?
保育士として働くための登竜門である採用試験とは具体的にどのようなものなのでしょうか。内容や受験の流れについて確認しましょう。
保育士の採用試験は大きく分けて2種類ある!
保育園には大きく公立と私立の2種類があり、採用試験の方法もそれぞれ異なっています。
公立保育園で働くには、各自治体が行なう公務員保育士採用試験を受ける必要があります。
一方で、私立保育園で働くには、各園の運営母体である会社や法人などが実施する求人に応募し、採用試験を受けなければなりません。それぞれの採用試験の流れについて、詳細を見ていきましょう。
公立保育園の採用試験
公立保育園の採用試験は次の表のように進みます。各過程について説明しましょう。
(1)
受験申込
就業を希望する各自治体の採用試験に関する情報を集め、受験申込を行ないます。申込期間は自治体によって異なるので注意が必要です。翌年の年度初めからの採用は、前年の5月から9月ごろに募集されることが一般的です。
ただし、年度によっては募集を行なわない自治体があります。また、保育士に欠員が出た場合は、急きょ、追加募集のための採用試験を実施することもあります。
せっかくの機会を逃さないように、各自治体のホームページや広報誌などを通じて、こまめに採用情報を確認しておくことが重要です。
(2)
一次試験
一次試験が実施されます。筆記試験で行なわれることが多くなっています。ここで、一次試験の合格発表があり、通過者のみが二次試験に進めます。
(3)
二次試験
(・三次試験)
二次試験を受けます。面接や実技試験が行なわれるケースが一般的です。自治体によっては三次試験がある場合もあります。
(4)
合格者名簿に登録
二次試験(もしくは三次試験)に合格すれば、自治体が用意する合格者名簿に登載されます。公立保育園の場合、試験に合格しただけでは即採用とならないので注意しましょう。
もし、登録期限の1年を過ぎても採用が決まらない場合は、再度採用試験を受験しなければなりません。
(5)
配属先の内定
各保育園などで欠員が出たり、補充が必要になったりすると、合格者名簿に登載された者のなかから配属先への内定が決まります。
(6)
採用
内定に対し承諾する旨を返答すれば、正式に採用となり、公務員保育士としての勤務開始です。
私立保育園の採用試験
次に私立保育園の採用試験についても表にまとめてみました。
(1)
求人を探して応募
保育園を運営する会社や法人などが出す求人に応募します。学校に寄せられた求人案内を見る、ハローワークで探す、人材紹介会社を使うなど方法はさまざまです。
(2)
一次選考
私立保育園の場合、一次選考は書類審査で行なうことが多いでしょう。合格すれば二次選考へと進みます。
(3)
二次選考
(・三次選考)
二次選考は、面接や実技試験、小論文などが一般的です。各保育園や運営会社などに出向き、選考試験を受けます。
(4)
採用内定
二次選考(もしくは三次選考)に合格すれば、内定通知が届きます。
(5)
採用決定
内定に対し承諾する旨を返答すれば、正式に採用決定となり、保育士としての仕事がスタートです。
保育士の採用試験を受けるための条件は?
保育士の採用試験は希望すれば誰でも受けられるわけではありません。条件や資格についてくわしく説明します。
保育士の採用試験を受けるための資格や年齢制限とは?
児童福祉法によると、公立、私立のどちらであっても「保育士」という名称を使って働くためには、保育士資格を取得し、さらに登録を済ませていることが必要です。
4月の採用を目指す学生などの場合は、応募要項のなかに「令和○年3月31日までに資格を取得し、登録を受ける見込みの者を含む」といった記載があれば、取得見込みでも受験できます。
また、幼保一元化の流れから、認定こども園などを希望する場合には、保育士資格とともに幼稚園教諭免許を求められる場合があるでしょう。
なお、「保育士」ではなく「保育補助」としての勤務であれば、保育士資格が必要とされないこともあります。
次に年齢についてです。公立保育園の採用試験では「平成○年4月2日以降に生まれた人」など、明確に年齢制限を設けているケースがほとんどです。
私立保育園の場合は、公立保育園ほど年齢的な条件を定めないことが多く、「年齢不問」としていることもよくあります。
保育士の採用試験の内容は?
それでは、具体的に保育士の採用試験の内容を公立保育園と私立保育園に分けて見ていきましょう。
公立保育園の採用試験内容
公立保育園の保育士の採用試験の内容は自治体によって異なります。一般的なケースについて説明します。
公立保育園の一次試験
公立保育園の場合は、公務員の採用試験となるため、一次試験では保育士の専門科目だけでなく、教養科目についても多く出題されます。
教養科目は出題範囲が広いため、念入りな試験対策が必要です。専門試験についても、保育や子どもに関する幅広い知識が問われます。
公立保育園の二次試験
公立保育園の採用試験の二次試験は、集団や個別での面接、論作文試験などが中心です。普段から保育行政や子どもに対する時事問題などに広くアンテナを張り、自分の意見をまとめておくとよいでしょう。
保育士としての適性をみるため、実技試験、体力試験、身体検査などが実施されることもあります。
私立保育園の採用試験内容
私立保育園の保育士の採用試験の内容は、各園の方針や教育理念によっても大きく違います。一般的なパターンを紹介します。
私立保育園の一次試験
私立保育園の一次試験は、多くが書類選考によって行なわれます。履歴書や卒業見込み証明書、保育士資格の証明書など、求められる資料をもれなく揃えましょう。
下記のコラムでは、職務経歴書や志望動機を書く際のポイントをわかりやすくまとめてありますので、採用試験の書類作成の際は参考にしてみてください。
私立保育園の二次試験
私立保育園の採用試験の二次選考では、面接試験や実技試験、論作文試験がよく実施されます。保育士としての実務能力と園への適性を試されますので、しっかりと準備しておきましょう。
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当社からの紹介をお受けいただく際には、試験の傾向などについての情報提供も行なっています。ぜひお気軽にご相談ください
保育士採用試験・一次試験の試験範囲と対策
次に保育士の採用試験・一次試験の出題範囲について、対策をご紹介します。
公立保育園の採用試験・一次試験の範囲と対策
まずは、公立保育園の保育士の採用試験について、教養試験と専門知識に分けて説明します。
教養試験の範囲と対策
公立保育園の保育士を目指すために、必ずあるのが教養試験です。教養試験の問題は出題範囲が広く、一朝一夕ではなかなか身につきません。
中学・高校時代の勉強や大学・短大などで学んだ一般教養の授業のイメージを思い出し、しっかりと対策を練る必要があります。
得意不得意があるのは当然ですが、採用試験では基礎的な問題を落とさないようにすることが重要です。
過去問を繰り返し解き、取りこぼしのないように準備したうえで、時事問題の確認も怠らないようにしましょう。
教養試験は、知能を判定する分野の問題と知識を確認する分野の問題とがあります。それぞれについてくわしく見ていきます。
(1) 能力を測る分野の試験範囲
一般知能を測る分野では、次の4種類の能力に関する問題が出される傾向にあります。
・文章理解
文章を読んで内容を把握したり、空欄を埋めたり、文章を正しい順序に並び替えたりする問題が出題されることが多いでしょう。問題文は現代文に限らず、英文や古文などさまざまです。
普段から幅広いジャンルの文章に触れ、すばやく正確に理解する練習が欠かせません。英語や古文については細かい知識までは問われませんが、忘れてしまっている文法や単語などについても確認しておきましょう。
・数的推理
速度や濃度・割合などを答える文章題、確率や図形など、数的思考力を測る問題が出されます。複素数やベクトルといった高校の複雑な数学よりも、小学校や中学校で学んだ算数や数学のイメージです。
計算や数的処理の感覚を思い出すためにも、繰り返し過去問や類題に取り組むとよいでしょう。
・判断推理
文章をもとに論理的な判断をしたり、暗号を読み解いたりする問題が多く、平面図形や立体図形の出題も見られます。しっかりとした推論を導き出すためには、日ごろから図や表を駆使して考える習慣を付けましょう。
・資料解釈
数字や図形を読み取り、与えられた資料を解釈する力が問われます。複雑そうに見えるデータのなかから、すばやく必要な数値や情報を読み取る力が必要です。
(2)知識を測る分野の試験範囲
知識を測る分野の試験範囲は、次の3つに分かれます。
・社会科学
政治・社会・経済に関する問題です。高校時代に学習した憲法の知識などを思い出し、基本的人権や三権分立など基本的な概念をおさらいしておきましょう。
財政政策や金融政策、社会保障問題や労働問題など時事問題が多く出題される傾向にあります。日ごろからニュースや世論に関心を持つことが大切です。
・人文科学
日本史・世界史・地理・国語・思想・文学・芸術などの分野から出題されます。大学受験などで選択していない科目については手こずるかもしれませんが、社会人として最低限必要な知識は身に付けておきたいものです。
初めから細かい知識まで覚えようとせず、取りかかりやすい国語の漢字やことわざの復習、高校受験に使った中学時代の社会科のテキストなどから勉強を始めてみるとよいでしょう。
・自然科学
数学・物理・化学・生物・地学などいわゆる理系の分野が出題範囲です。保育士を目指している人たちは、大学・短大受験などでは文系科目を中心に勉強することが多いため、なじみのない人がほとんどでしょう。
過去問を解いてみて出題の傾向を把握し、理解しやすそうな分野に絞って学習してみるのもひとつの方法です。
専門試験の範囲と対策
公立保育園の保育士の採用試験では、保育や子どもに関する専門的な内容の理解度を測る専門試験が実施されます。具体的な範囲は次のようなものです。
- 保育原理
- 教育原理
- 社会的養護
- 社会福祉
- 児童家庭福祉
- 保育の心理学
- 子どもの保健
- 子どもの食と栄養
- 家庭支援論
- 保育内容
- 乳児保育
- 障がい児保育
- 保育実習
対策としては、大学・短大・専門学校などで履修した専門知識をもう一度しっかりとおさらいすることが重要です。保育士試験対策のテキストで学習するのもよいでしょう。
私立保育園の採用試験・一次試験の範囲と対策
次に、私立保育園の保育士の採用試験について見ていきます。
書類選考の対策と履歴書の書き方
私立保育園の採用試験の一次選考は、書類審査が中心となることがほとんどです。必要書類をもれなく揃え、自分の長所や保育士としての熱意を理解してもらえるように努めましょう。
なかでもとくに重要なのが履歴書です。ただ「申込書を書く」というだけの認識では、二次試験に進めません。
履歴書は、自分自身の学んできたこと、保育への思い、アピールポイントなど、「これさえ読めば本人のことは何でもわかる」というレベルにまで作り込む必要があります。
保育士の実務は、想像以上に書類仕事が多いものです。美しい文章を書く必要はありませんが、主語述語のねじれや「てにをは」の間違い、誤字脱字などがないか提出前に何度も確認しておきましょう。
二次試験で行なわれる個人面接などについても、この履歴書をもとに進められるのが一般的です。丁寧に自己分析して書かれた履歴書は一次試験を突破するためだけでなく、今後の面接試験などを有利に進めるための材料となります。
保育士採用試験二次試験の試験範囲と対策
採用試験の二次試験では、保育士としての適性がさまざまな面から試されることになります。こちらも、公立保育園と私立保育園に分けてくわしく説明します。
公立保育園の採用試験・二次試験の範囲と対策
公立保育園の保育士採用試験の二次試験では、論作文や面接、実技試験、体力試験などが課せられることが多いものです。それぞれの傾向と対策を考えましょう。
論作文の傾向と対策とは?
公立保育園の採用試験の論作文は、通常、テーマと文字数を指定され制限時間内に解答を作成する形式で出題されます。
文字数は自治体によって異なりますので、あらかじめ過去問を参照し、制限字数の9割程度は埋められるように練習しておきましょう。
対策としては、出題されやすいテーマについて、実際に書いてみるのがおすすめです。近年の出題傾向を参考に、いくつかテーマをあげておきます。
- 少子化社会における保育士の役割とは
- 理想とする保育士像
- ○○市が抱える諸課題について
- 待機児童問題について
- 少子高齢化社会の原因と対策
- 公務員のコンプライアンスについて
- 最近のできごとで学んだこと
頭ではわかっていても、文章に書こうとすると手が止まってしまうものです。とくに本番は制限時間もあり、本当に伝えたいことがうまくまとめられないこともよくあります。
最初に結論を書く、理由を3点にまとめる、といった論作文のテクニックを参考書などで事前に確認しておくと安心です。また、原稿用紙の使い方や文体の統一などについてもおさらいしておきましょう。
面接の傾向と対策とは?
公立保育園の採用試験では、個別面接や集団面接が行なわれます。面接は、筆記試験だけでは測れないコミュニケーション能力や保育士としての適性などが試される場です。
よく質問される内容は、以下のような項目です。
- 自己PR
- 長所と短所
- 趣味や特技
- 学生時代に打ち込んだこと
- どうして保育士になりたかったのか
- 公務員保育士の志望動機
- 時事問題
- 専門知識
- 事例対策(こんな場合はどうする?)
保育士は人前で話すことが多い仕事です。緊張した場面でも、自分の意見を一貫してわかりやすく説明できるか、姿勢や表情などまわりへの配慮があるか、など実務でも必要な表現力をチェックされます。
友達同士で模擬面接を行なったり、答えている姿をスマートフォンで撮影したりしながら、自分自身の話し方を再確認しておきましょう。
実技試験の傾向と対策とは?
自治体によっても違いますが、公立保育園の採用試験では実技試験が実施されるケースがあります。内容もさまざまですが、よく見られるのは、音楽実技、言語実技、造形実技などです。
どの実技試験も、上手下手よりも子どもたちとかかわる姿勢をチェックしています。実際にその場に子どもたちがいることを想定して試験に臨みましょう。
(1)音楽実技試験の内容と対策
音楽実技試験の内容は、ピアノや弾き歌い、手遊びなどが多くなっています。
・ピアノ
課題曲、自由曲、初見といった課題があります。音楽家ではなく保育士を目指すのですから、子どもたちの歌いやすさが何より重要です。
子どもたちの伴奏を弾いているイメージで、間違ってしまっても最後まで止まらず楽しそうに弾くよう心がけましょう。
・弾き歌い
弾き歌いは、無理のない音域で感情をこめて行ないます。姿勢や表情も採点の大きなポイントとなりますので、注意しましょう。猫背にならず背筋をピンと伸ばせば、自信と余裕のあるところがアピールできます。
・手遊び
手遊びは、そこに子どもたちがいるつもりで、導入の言葉を用意しておくとよいでしょう。初めての子どもたちにわかりやすく教えているシーンを想定して、大きなジェスチャーで行なうのがおすすめです。
(2)言語実技試験の内容と対策
言語実技試験では、読み聞かせや素話などを行ないます。
・読み聞かせ
大きな声ではっきりと、子どもたちも理解しやすい読み方を心がけましょう。演技をしすぎたり、途中で自分の解釈を加えたりはせず、裏表紙までしっかりと見せます。
・素話
頭でしっかりと場面を想像して話しましょう。緊張して早口になりがちですが、落ちついて子どもがわかりやすい言葉を使います。子どもたちがいることを意識して視線の位置も工夫しましょう。
(3)造形実技試験の内容と対策
造形実技試験では、絵画製作や工作などが出題されます。
・絵画製作
画材の特性を活かし、のびやかに描くとよいでしょう。色の三要素や補色など、専門的な知識を取り入れて、かならず時間内に完成させます。
・工作
すばやくかつ丁寧に仕上げるのがポイントです。時間切れにならないように気をつけましょう。時間に余裕があれば、子どもが喜びそうな工夫を盛り込めると好印象です。
体力試験の内容と対策とは?
公立保育園の採用試験の体力試験は、一般的な体力測定のイメージと重なります。握力、踏み台昇降、前屈、背筋力、反復横跳びなどが課せられることがおおくなっています。
運動が苦手でも、きびきびと動くことが大切です。数値よりも、保育士として「身体を動かすのが好き」「子どもと一緒に遊びまわりたい」という気持ちをアピールしましょう。
私立保育園の採用試験・二次試験の範囲と対策
私立保育園の採用試験の二次選考でも、公立保育園と同様、面接試験、実技試験、論作文試験が多く実施されます。
基本的な注意点は公立保育園と同じですが、私立保育園の場合、園の方針に合う保育士かどうかの判断に重点がおかれます。
外遊び重視の園なのか、知育発達を目指す園なのかなどをあらかじめ調べ、面接や論作文の答え方にも工夫しましょう。
また、モンテッソーリ教育など独自色の強い教育内容を取り入れていたり、キリスト教や仏教など宗教教育を重視していたりという場合、関連する知識が問われる可能性もあります。
保育園のホームページなどで情報を集めて、急に質問されても答えられるように準備しておきましょう。
リトミックや鼓笛演奏に力を入れている保育園の場合、実技試験で実力を確かめられるケースもあります。事前に専門書を読んだりセミナーなどに参加したりしておくと、安心して試験に臨めるでしょう。
入念な準備で採用試験を突破し、保育士としての一歩を踏み出そう!
保育士は子どもたちの命を預かる仕事です。そのため、採用試験に合格するためには、公立・私立にかかわらず、さまざまな能力と高い職業意識が求められます。
「わたしの保育」を運営するテンダーラビングケアサービスは、転職エージェントとして20年以上にわたり、保育士の皆様の就職、転職をサポートしてまいりました。
ご希望の方には履歴書の書き方のアドバイスのほか、無料の保育研修もご用意していますので、保育の現場経験がない方でも安心して就業いただけます。
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監修者 PROFILE
和氣 タイ子 Waki Taiko都内の認可保育園にて園長経験7年、保育経験のべ30年以上のベテラン保育士。現在は研修など人材育成に注力。