保育園で導入されているリトミックとは?
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#日々の保育
作成日 2020/01/23
更新日 2021/03/31
保育園で導入されているリトミックとは?
保育現場で取り入れられているリトミック。これは音やリズムに合わせて体を動かし自由に表現をすることで感性を磨く音楽教育法です。幼少期から行なうことで、子どもたちの表現力や想像力、運動能力が養われます。
リトミックの具体的な効果や対象年齢別の取り入れ方、指導時のポイントなどまとめて見てみましょう。
目次 |
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リトミックとはどんなもの?
保育の中でリトミックを行なうためには、まずは基礎知識を身につけておきましょう。
リトミックは子どもの感性を磨く音楽教育法
リトミックとは、エミール・ジャック・ダルクローズ博士によって考えられた音楽教育法です。自分の感性で、音やリズムに合わせて体を動かし自由に表現をするもので、保育園でも乳幼児期から取り入れられています。
楽しく音楽と触れ合うだけでなく、基本的な音楽能力を伸ばす役割もあります。体や心の成長を促し、幼少期以降もしっかりと成長していくための基礎能力の発達を促します。
日本で主流のリトミックには、素質的運動能力の育成が主な目標である天野式リトミック、音楽的要素が強い国立音大のリトミックとがあります。今回は、音楽的要素が強いリトミックについて詳しく見てみましょう。
リトミックに資格は必要?
リトミックには決まったルールはありません。そのため、保育で行なう場合に資格は不要です。ただ、年齢ごとに使う曲や体の動かし方が変わってくるので、最低限の基礎知識を身につけておきましょう。
本格的に指導法を学びたい、専門的な知識をつけたい、という場合は以下のような団体で民間資格の取得が可能です。
リトミック研究センター
- 『指導資格』『ディプロマA資格』などを取得可能(NPO法人・リトミック研究センターが認定している資格)
- 年間9回全国各地で行なわれている月例研修会では、1年で初級・2年で中級・3年で上級の指導資格、4年でディプロマBを取得できる
- 東京・名古屋の2カ所で行なわれている教員養成校では、週に2回1年でディプロマBを取得できる
- 指導のベースとなる技術、能力、知識、実践手法を学べる
国立音楽院
- 『幼児リトミック指導員』『ベビーリトミック指導員』などの資格を取得可能(音楽の教育施設・国立音楽院が認定している民間資格)
- 土日に行なわれる2年コースで幼児リトミック指導員、ベビーリトミック指導員の資格を取得できる
- 実技レッスンのやり方や伴奏法、乳幼児発達心理学など、リトミックに関する知識を総合的に学べる
リトミックによって期待できる効果とは?
自分の感性で音やリズムを体で表現することで、体にも心にも大きなプラスの効果が期待できます。
からだへの効果
音やリズムに合わせて体を動かしリトミックを行なうことで、表現力や柔軟性が身につきます。年齢が上がるとともに音楽にあわせて素早い動きも取り入れるようになるので、俊敏性も養われます。
幼少期から、音楽を楽しみながら基礎的な運動能力の土台づくりが進められるという大きな効果があります。
こころへの効果
音やリズムを聞いて、どんな動きがあっているか、ポーズはどうするか、などの想像力が身につきます。そして1曲という決まった時間で意識を集中させることで、集中力も身につきます。
また、年齢が上がるにつれて、個人ではなく友だちと一緒に楽しむ場面も増えてきます。音楽に触れる喜びを覚え、友だちとともに楽しみながら協調性も養われます。
保育園で導入されているリトミックの方法とは?
リトミックには決まったやり方はありません。保育園に導入する場合は、年齢ごとに使う曲やリズム、テンポの速さを変えていくとよいでしょう。
対象年齢別におすすめのリトミックを紹介
リトミックには決まったルールはありませんが、遊びと同じように子どもの年齢によって推奨される取り組み方が異なります。年齢ごとのポイントを見てみましょう。
0歳児
音に慣れる大切な時期です。保育士とともに音に合わせて体を揺らす、音に合わせて保育士が手や足を動かしてあげる、というように、音楽やリズムに合わせて体を動かす楽しみを存分に味わえるようにしましょう。
1歳児
音にも慣れ、自分で少しずつ体を動かせるようになる時期です。音に合わせて手を叩く、ジャンプする、メロディーに合わせて体を揺らす、といった表現に慣れるようにしましょう。
2歳児
身近なものや動物などであれば、想像して表現できるようになります。
ゆっくりとした音楽にあわせて象やカメになろう、軽快なテンポのリズムに合わせてウサギやリスになってみよう、というようにイメージをしながら体を動かせるようにしましょう。
想像力を働かせながら、体で表現する楽しさをしっかりと味わう時期です。
3歳児
個々の想像力、表現力を養うだけでなく、友だちと一緒に音楽やリズムを表現できるようになります。
音楽に合わせて電車ごっこをし、決まった音で連結をする、リズムが速くなったらスピードを上げる、といった遊びのような楽しみ方ができます。
4歳児
友だちと同じ動きをするだけでなく、グループに分かれて表現ができるようになります。
二分音符はリスさんグループ、四分音符はアヒルさんグループというように分かれ、自分のグループの音が聞こえた時だけその動物になりきって動く、といったリトミックができるでしょう。
しっかりと音やリズムを聞きながら、体全体で感じたことや、想像力を働かせてイメージしたことを表現します。
5歳児
高度なリズムや表紙、音階を聴いて体で表現できるようになります。また、音楽そのものに対しての理解も深まります。
グループに分かれるリトミックも、何種類ものリズム、幅広い音程を用意することで、より想像力や表現力、俊敏性が養われます。
どんな曲を使えばいいか
0〜2歳の低年齢児には『大きな栗の樹の下で』のようなゆっくりとしたテンポの曲、3歳以上になると『さんぽ』『あくしゅでこんにちは』などの曲を使用できます。
また、市販されているリトミック専用の楽譜やCDなどから選ぶのもよいでしょう。
保育園でリトミックを導入する際の進め方について
リトミックを行なうときに大切なのは、子どもたちがいかに楽しみながらできるかという点です。進め方のポイントをおさえて工夫してみましょう。
リトミックの進め方についてポイントを紹介
リトミックを進めるうえでのポイントは3つあります。
同じ音楽で繰り返し行なう
リトミックでは、決まった音楽を繰り返し流すようにしましょう。同じ音楽を使うことで、子どもたちは音やリズムを覚えます。また、いつもの曲が『楽しい時間が始まる!』という合図にもなります。
子どもの表現を尊重
子どもたちの想像したこと、体を使って表現したことを尊重しましょう。感じたまま表現できている、その子らしい動きをしている、といったよいところはしっかりと褒めることがポイントです。
それによって子どもたちの自己肯定感が高まり、より楽しい雰囲気を作り出せます。
型にはまらない楽しみ方を
リトミックは、音楽のテンポや音の高さを変えることで、音楽にストーリー性を持たせることが可能です。またグループでのリズム遊びのように、年齢や人数によっても内容を変えられます。
こうでなければならない、といった型にはまったリトミックではなく、臨機応変に楽しむことが大切です。
子どもが飽きないような工夫をする
同じ音楽で繰り返し行なうのがリトミックのポイントですが、ずっと同じ曲、同じテンポで同じパターンだと、子どもたちも飽きてしまいます。
ひとつの曲で子どもたちが存分に表現力を発揮できるようになったら、ゆっくりとした曲の次に早い曲、というように曲のテンポを変える工夫もしてみましょう。
また、落ち着いた雰囲気の曲、明るく元気な曲、軽快に動き回れる曲など、曲の種類にもバリエーションがあれば常に新鮮な気持ちで楽しめます。
リトミックで子どもの可能性を広げていく
リトミックは、保育士も子どもも一緒になって楽しめます。
また、決まったカリキュラムもなく資格も必要ないため、発想とアイディア次第で目の前の子どもたちに合ったプログラムを考えていくことも可能で、そこが保育士としてのスキルアップにもつながる部分です。
音楽に関心がある、子どもたちの資質をリトミックによって伸ばしていきたい、という方はしっかりと保育の中に取り入れていきましょう。
「わたしの保育」を運営するテンダーラビングケアサービス では、保育士向けに保育の現場で役立つ無料の研修を随時行なっています。
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監修者 PROFILE
和氣 タイ子 Waki Taiko都内の認可保育園にて園長経験7年、保育経験のべ30年以上のベテラン保育士。現在は研修など人材育成に注力。