療育とは?保育士が発達障がい児や保護者に対応する時のポイントや基本知識を紹介
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#子どもの心と体
作成日 2019/03/18
更新日 2024/04/23
療育とは?保育士が発達障がい児や保護者に対応する時のポイントや基本知識を紹介
今回は「療育」について学んでいきましょう。小中学校の教師を対象にした調査*では、発達障がいの可能性のある児童生徒のクラスへの在籍率は6.5%程度という結果が出ました。ですが、その前段階にある保育園や幼稚園にも通ずる結果として現場では認識されています。
つまり、保育の現場で働く保育士は、多かれ少なかれ発達障がいをもつ子どもとかかわる機会があるということです。保育士として療育とはどんなものか、気になる子どもやその保護者とどのようにかかわっていくべきなのか、などを一緒に考えていきましょう。
*参照:文部科学省 「今後の放課後等の教育支援の在り方に関するワーキンググループ データ集」3MB
※わたしの保育では、「しょうがい」の表記について「障がい」の表現を通常用いています。しかし、厚生労働省などでは「障害」の表記を用いている為、本コラムでは参照元や引用元に準じた表記をしている箇所もあります。
目次 |
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そもそも療育とは何か?
デジタル大辞泉によると、療育とは「障害をもつ子供が社会的に自立することを目的として行われる医療と保育」と定義されています。肢体不自由児の父と呼ばれる高木憲次(1888~1963)が提唱したもので、当初は、手足に不自由がある子どもたちへの治療と教育の充実を目指す考え方でした。
「障がい」という言葉の範囲が広がった現在では、知的障がい・発達障がいを抱える子どもたちにも、療育の理念に沿った早期からの支援を行なうことが重要視されています。
療育の目的とは
療育の目的は、子どもたちに障がいを克服させることではありません。障がいを抱える子どもたちをサポートすることで、子どもたちの自立と社会参加を促そうというものです。
障がいに起因する症状や特徴を無くすことはできません。一人ひとりの特性やペースに合わせて、子どもたち自身が自分なりの方法で日常生活を送れるように手助けすることが療育に必要とされています。子どもたちの出来ることの引き出しを増やすことが療育の本質です。
療育と発達支援の違いとは?
子どもたちへの支援として、療育のほかに「発達支援」というものがあります。これは、障がいの軽減・改善を目指す療育を発展させた概念で、子ども本人だけではなく、障がい児を育てる家族への支援や保育施設・学校などとの連携の在り方も含めて、包括的に支援しようというものです。
障がいがあっても育ちやすい、暮らしやすい地域づくりを目指す『発達支援』の中で、保育施設は、子どもたちに最初に療育を提供する場所として重要な役割を担っているということができます。
療育と保育の違いを知ろう
保育士が発達障がいの子どもと接するためには、療育と保育の違いをしっかりと理解することが大切です。ここでは、療育と保育の違い、療育センターと保育園との連携について解説します。
療育と保育の違い
「療育」と「保育」の違いはどのようなところでしょうか。簡単に言うと、療育は発達に何らかの困難を抱えた子どもたちに向けての発達支援、自立支援をすることです。その一方で、保育は就労や家庭の事情などの理由で保護者以外によるケアを必要としている乳幼児期の子どもたちのケアをしていくことです。
別の事柄ではありますが、このふたつには密接な関係があると言えます。療育の必要性は保育のなかで見つけて判断することも多く、また、療育と保育を並行して進めることが多いことを知っておく必要があります。専門的な支援プログラムのもとで進められる療育は、療育センターと呼ばれる施設でもその支援が行なわれています。
療育センターと保育園との連携について
療育センターと保育園は密に連携を取り合っています。主な連携内容は「声かけの仕方」や 「トイレに行くタイミング」、「遊びの種類」などを統一し、療育センターでも保育園でも子どもたちが同じように過ごせるようにすることです。
また療育センターのスタッフが定期的に各保育園を巡回するなどの施策も行なわれています。療育センターと保育園での生活で子どもが混乱することのないように、保育士として療育センターとしっかり情報交換を行なうことは非常に大切です。
療育を担う施設の種類
療育を担う施設(療育センター)を対象にした明確な法律や制度はなく、現在専門的に療育を行っている施設のほとんどが児童福祉法で定められる施設に区分されています。児童福祉法における支援は主に「障害児通所支援」と「障害児入所支援」の2つで、抱えている障がいや対象年齢などによって、どの施設でどのような療育を受けるか、選択されることになります*。
*参考:厚生労働省「障害者福祉」
①障害児通所支援
市町村が実施主体となる障害児通所支援は、児童発達支援、放課後等デイサービス、保育所等訪問支援などのサービスがあります。これらのサービスは、障がいのある児童・生徒が、自宅や学校などの日中の生活の場から、一定の時間だけ施設や事業所に通って受けるもので、障がいの特性や個別のニーズに応じて、日常生活の自立支援や集団生活への適応訓練などが行われます。
児童発達支援 | 放課後等デイサービス | 保育所等訪問支援 | |
支援内容 | 日常生活の自立支援や集団生活に適応するための訓練、保育園や幼稚園のように遊びや学びの場などを提供する | 学校授業終了後または夏休みなどに、生活能力の向上のために必要な支援や遊びの提供などを行なう | 障がい児以外の児童との集団生活への適応のための専門的な支援などを行なう |
対象者 | 障がいを抱える未就学児 | 障がいを抱える児童、生徒(小・中・高) | 障がいを抱えながら保育所・幼稚園・小学校等に通い、支援が必要と認めらた幼児、児童、生徒 |
対象年齢 | 0~6歳 | 6~18歳 | 0~18歳 |
②障害児入所支援
都道府県が実施主体となる障害児入所支援には、福祉型障害児入所施設と医療型障害児入所施設の2種類の施設があります。これらの施設では、障がいのある児童・生徒が、自宅から離れて入所することになり、保護や介護のほか、機能訓練、社会活動参加支援、コミュニケーション支援などのサービスが提供されます。医療型の施設では、さらに、疾病の治療や看護、リハビリ、精神医療などの医療的な支援も行われます。
福祉型障害児入所施設 | 医療型障害い児入所施設 | |
支援内容 | 日常生活に必要な動作の訓練や保護などの福祉的支援 | 日常生活における福祉的支援および医療的ケアを行なう |
対象者 | 知的障がい児、身体障がい児、精神障がい児 | 自閉症児、重症心身障がい児、重症心身障がい児 |
対象年齢 | 0~18歳 | 0~18歳 |
*参照:文部科学省「障害児通所支援・障害児入所施設の概要」
教育や保育と同じように、療育も子供に必要な支援
自分の園やクラスの子どもが療育に通っているという方もいらっしゃるでしょう。障がい者基本計画では療育について以下のように述べられています。
(引用:文部科学省「障害者基本計画 3.分野別施策の基本的方向」)
療育は、教育や保育と同じように子どもに対して行なわれるべき必要な支援である、ということが分かります。さらに、幼児期から学校を卒業するまで、子どもに対し一貫した教育や療育を行なう必要があるとされています。
気になる発達障がいとは?
発達障がいとはどういったものなのでしょうか?さまざまな発達障がいの傾向を知っておくことは、子どもの発達を見極める判断材料になります。
発達障がいは、脳機能の発達が関係する障がいで、「自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障がい、学習障がい、注意欠陥多動性障がいその他これに類する脳機能障がいであってその症状が通常低年齢において発現するもの」*と定義されています。
発達障がいのある人はコミュニケーションや対人関係を築くのが苦手な場合が多いので、周囲の人からは「変わっている」「自分勝手」「問題を起こす」などと誤解されてしまうことも少なくありません。社会性や人とのコミュニケーションを苦手とする発達障がいのある子どもたちは、保育園や幼稚園、小学校などの集団において、さまざまな問題や困難を抱えることがあります。障がいを正しく理解し、適切な支援を行なうことも保育士の大切な仕事の一つだと言えます。
発達障がいにはいくつかの種類があります。主なものは「広汎性発達障がい」「注意欠陥多動性障がい( AD/HD )」「学習障がい( LD )」の3つです。この他にも、「トゥレット症候群」や「吃音症」なども発達障がいとして挙げられます。これらの発達障がいはひとつひとつが分断されたものではなく、複雑に絡み合って子どもの特徴として現れます。
*引用:文部科学省「発達障害者支援法」
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療育を受ける対象年齢について
「療育」を考える段階でまず考えるのが「いつから始めればいいのか」「どんな内容があるのか」ということだと思います。療育と一言で言っても多くの方法があり、子どもの発達や特性に合う療育を受けなければあまり意味がありません。
一般的に時期は早ければ早い方がいいとされていますが、それも発達の様子によって変わってきます。早期診断が難しい障がいの場合は、あまり早くに行なっても判断がしにくいからです。学習障がいやトゥレット症候群は早期診断が難しいとされています。学習障がいの判断基準である読み書き計算の学習は小学校から行なうものですし、トゥレット症候群はチックの症状を1年以上経過観察した上で診断されるので、必然的に時間がかかります。
ではなぜ、早期療育を行なうことがよいとされているのでしょうか。発達障がいに早く気づき早期療育を行なうことは、子どもが社会に適応する力を身につけながら、自分らしく成長するために必要なものです。
また、療育は子どもが受けるものですが、その子どもを取り巻く大人の理解を深めることへもつながります。幼児期のうちに子どもの障がいを理解し、自己肯定感をしっかりと高めていくことは、障がいのある子どもがその後の成長過程において、障がいのある自分を責めたり、価値のない人間だと思ったりすることを避けるためにも非常に有効なのです。
療養にはどのような種類があるの?
療育という言葉は身近だけれど、保育園とは違う施設で行なわれる場合が多いので実際は何をしているのか分からない、という方が多いのではないでしょうか。ここでは療育の具体的な内容をご紹介します。ただし、施設によってさまざまな方法や考え方があるので、一貫した支援を行なうためにも、発達障がいのある子どもが通う発達支援センターと連携を取り合う中で、支援方法を共有していくことをおすすめします。
障がい児をサポートする方法にはさまざまな種類がありますが、大きく分けると「薬物療法」「音楽療法」「食事療法」「作業療法」「TEACCH(ティーチ)」の5つに分けられます。それぞれどのような内容なのか、そしてどのような症状の子どもを対象とするものかをご紹介します。
薬物療法とは
薬物にて対処する療育方法です。医師により判断され、おもに、欲しいものがあると駄々をこねてしまう、落ち着きがないといった症状が見られるADHDの子どもに処方する薬や、反発性攻撃性に対処するための精神安定剤に似た効果を表す薬の処方が多いとされています。
自分ではどうしようもなくイライラしていたのが薬の服用により落ち着けるようになり、先生の話を聞けるようになってきた、みんなと行動をともにできるようになってきた、などの例があります。ただし薬の服用に関しては、服用開始時期の目安があったり、副作用が出る場合があったりするので、保護者と医師とで相談して進めていきます。また、障がいの特性から味覚が非常に敏感な子どもがいます。その場合、薬の味や匂いに対して過敏に拒否反応を示し、飲めない薬があることもあるかもしれません。そうした際にも医師と相談をする必要があります。
音楽療法とは
音楽療法とは、音楽を用いて心理的障がいの回復、改善、社会生活においての質の向上を行なう療法です。主に歌を歌ったり、楽器を演奏したりすることで療養対象の子どもにアプローチし、子ども自身の抱える悩みやつまづきを解放していくことが可能となります。保育園でも取り組みやすい療育と言えるでしょう。
食事療法とは
食事療法とは、食事を通してのアプローチで子ども自身の悩みに働きかけていく、心理的要因に向けた長期的療法です。まずは食を通して体の内側からの改善、そして親子でかかわり合いながら取り組むことで、子ども自身だけでなく悩む保護者の方とともに長期的に取り組んでいく療育方法です。諸説あるものの、アメリカなどでは、グルテンフリーの食事が発達障がいに効果があると考えられています。
作業療法とは
作業療法とは、工作や知育玩具、ゲームなどを利用し、細かな作業を行なうことにより、社会生活に必要な能力の回復を目指す療法です。楽しく療育が可能なため、発達障がいをもつ小さな子どもたちには非常におすすめの療育方法と言えます。保育園などでも、普段の遊びの延長線として取り入れることが可能です。
作業療法には大きく3つの種類があります。
PT(理学療法)・・・体の動かし方から始める方法
OT(作業療法)・・・細かな作業などを楽しみながら行なう方法
ST(言語療法)・・・発音や脳機能に特化した方法
単体で行なうのではなく、並行したり時期をずらして取り組んだりもします。
TEACCH(ティーチ)とは
TEACCH(ティーチ)とは、「Treatment and Education of Autistic and related Communication handicapped Children(自閉症及び関連するコミュニケーション障がいをもつ子どもたちのための治療と教育)」それぞれの頭文字から成る造語で、自閉症やコミュニケーション能力につまづいている子どもたちへの支援です。まずは落ち着きがない、人間関係が苦手など、その子の特性を理解することから始め、保護者の協力の元で子ども自身の得意なことを伸ばしていきます。苦手なことにも配慮し、構造化をしていくことで子ども自身が主体的に活動していけるようになります。
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保育士の、発達障がいがある子どもとその保護者への接し方
発達障がいはさまざまな特性が複雑に絡み合って現れることがあります。また、幼児期の子どもの成長は日々変化するため、成長過程で気にならなくなる特性なのか、発達障がいからくる特性なのか分かりづらいことがあります。もしくは、子どもの発達の遅れやアンバランスさに気づいたとしても、それをどのようにして保護者に伝え、受け入れてもらうか、ということに頭を悩ませる保育士さんも多いのではないでしょうか。ここでは子ども本人やその保護者への対応について、気をつけたいポイントを紹介します。
「気になる子ども」は「発達障がい」?
「気になる子ども」と言ってもそのタイプはさまざまです。まずはその子どもの行動の記録を取ることをおすすめします。記録というと少しハードルが高く感じてしまうかもしれませんが、小さなメモ帳をポケットに入れておいて、気になる行動が見られたときに簡単にメモをすることから始めてみましょう。
メモの内容は、時間・行動・外的刺激(保育士や友達の言葉や接触など)で初めは十分です。何回も同じような行動が見られる場合は、保育士の援助とその後の子どもの様子も記録します。そうすることで、子どもの行動の傾向と適切な援助方法を探ることができます。
私たち保育士は医師ではありませんから、障がいの診断はできません。しかし、保育士にできる役割のひとつに「連携」があります。子どもに発達障がいの疑いがあると気づいたとき、保育士として保護者や発達支援センター、学校、園の職員と密な連携を取りましょう。その際に活用できるものが、先ほどの記録メモです。取りためた記録は、ほかの人に情報を共有するよい材料となりますので、気になる子どもがいる場合はまず記録をとってみることをおすすめします。
発達障がいの子どもへの接し方
保育士として、発達障がいの子どもへの接し方に頭を悩ませている方も多いでしょう。特別扱いはできないし、どうしたらいい?という悩みもよく聞かれます。特別扱いはできないとお悩みの方は、周りの子どもたちが「どうしてあの子だけ」と思ってしまうことを心配しているのでしょう。特定の子どもだけを特別扱いすることには、どうしても不満が生まれます。結果的にクラスのまとまりもなくなっていく悪循環になりかねません。
特別扱いにならないよう注意しながら、配慮を行う
それでも、必要な支援は行なわれなければなりません。配慮を行ないながらも、周りの子どもに特別扱いを感じさせないように心がけましょう。たとえば、話の指示が通りにくい子どもの席を先生の目の前の席にする。なにかを説明する際は多めに目を合わせ、活動開始した時には個別に声掛けを行なうなどで、障がいを抱える子どもが周囲の動きとスムーズに合わせられるよう、いくように配慮できます。そのままでは臨機応変に対応することが難しい子どもに対して個別に細やかに目を向けることが鍵となってきます。
肯定的な言葉で声掛けする
特別扱いしないということは、「叱るときにはきちんと叱る」ということも必要となります。危険な行動や周りに迷惑をかける振る舞いをした際には、それはダメだとしっかりと伝えなければならないからです。ただし、伝え方を間違えてしまうと、子どもの自己肯定感が損なわれます。叱るときも否定するような言い方はやめて、肯定的な言葉で注意や指導をするように心がけてみてください。
子供の気持ちを否定せず受け止める
発達障がいの子どもは、「怒りっぽい」「気持ちの切り替えが苦手」「予期せぬことへの対応ができない」といったように、健常児と比較すると気持ちのコントロールが難しい子が多いです。中には自分がイライラしていることに気づいていないこともあります。そんな時は、「どうしたの?」と聞いてみて、子どもが自分の気持ちと向き合えるきっかけと時間を作ってあげてください。頭ごなしに対応することは、決して解決につながりません。
失敗しても前向きな言葉をかける
人は経験から学んでいきます。挑戦した結果が失敗だったとして、それを糧にして成長することができます。しかし、発達障がいの子どもは失敗を必要以上に恐れ、チャレンジそのものをしない傾向があります。子どもたちの気持ちを変えるためには、子どもが感じる失敗への不安や恐怖をしっかりと受けとめてあげることが大切です。その共感が子どもたちの安心につながり、失敗を恐れない前向きな行動を呼び起こします。
肯定的な声掛け | 子どもの気持ちを否定せず受け止める | 失敗しても前向きな言葉をかける | |
NG | 廊下は走らないで | イライラしている子どもを怒る | どうして失敗したの? |
OK | 廊下は歩きましょう | どんな気持ちなのか尋ねる | 同じくらい怖いと思ったことがあるから気持ちがわかるよ |
発達障がいの子どもの保護者との「保育士として」の接し方
発達障がいのある子どもは集団生活においてのみ、その特性が現れる場合があります。家庭では自分の思い通りに過ごせ、苦手な刺激が少ないため、保護者は障がいによる子どもの困り感に気づいていないということがあるでしょう。このような場合、保護者への伝え方を慎重に考えなければなりません。保育士から急に我が子の発達のアンバランスさについて伝えられたとしても、保護者としてはすんなり受け入れることは難しいでしょう。関係が崩れてしまう可能性も考えられます。
まずは、保護者との信頼関係を築くことが一番大切です。信頼関係を築くためには、園での子どもの様子を日々少しずつ伝えながら、ゆっくりと時間をかけてしっかりとした信頼関係を築いていきます。そして保護者が、家庭で手を焼いていることや困っていることなどをぽろりと口に出したときがチャンスです。よき相談相手として話を聞き、園でも同じような場面があれば伝えてみましょう。
ここで重要なのが、伝えっぱなしになるのではなく、「 ~ のように声を掛けたら、気持ちが切り替わったんですよ」「時計の針を見ながら ~ をしたら、集中してできたんですよ」などと、うまくいったかかわり方も伝えるようにしましょう。すると、保護者は「家でもやってみようかしら」という思いが持て、「園でもそういうところがあるのね」と気づくことができるのです。保育士として経験が浅いうちは、保護者に対する遠慮から上手く子どもの様子を伝えられないこともあります。そんなときには先輩保育士に付き添ってもらってもよいでしょう。
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保護者と周囲がしっかりと連携することが大切
発達障がいの子どもの発達を促し、自立して生活をするための援助を行なう療育。保育現場で子どもたちと近い距離でかかわり、保護者とも信頼関係を築いている保育士は、発達障がいのある子どもやその保護者に発達支援センターのような療育機関を知らせ、連携を取るという重要な役割があります。
近年は発達障がいの認知も広がり、早期発見と対処が重んじられるようになってきています。しかし、一人で気負いすぎる必要はありません。複数の目があれば見えてくるものがあり、周りとの連携で得ることもあります。
気になる姿を見つけたらまずよく観察し、相談しましょう。周りと協力して見て考えていくことで療育につなげられたり、保護者の方と考えあっていくきっかけが作れたり、何か得られるものがあるはずです。周りと手を取り合って、発達障がいの子どもにとってよい方法を見つけていきましょう。
「わたしの保育」を運営するテンダーラビングケアサービスでは、療育や発達障がいをはじめ、保育士向けに保育の現場で役立つ無料の研修を随時行なっています。適切な保育のための知識や、子どもたちを喜ばせるレパートリーを増やしていただくためのサポートをさせていただければと思いますので、ぜひご参加ください。
まとめ
療育と保育には「子どもが集団生活や社会生活を送るための手助けをする」という共通点があり、保育士は子どもの成長をサポートするプロフェッショナルです。また、発達障がいを抱える子どもたちの特徴を知り適切な配慮を持って見守ることは、子どもたちだけではなく、その家族・保護者への助けにもつながります。
保育士にとって、療育や発達障がいの知識と理解を深めることは、自らの価値を高めながら社会に貢献できる方法の1つということができます。子どもたち一人ひとりの違いが尊重されるようにサポートしてあげましょう。
「わたしの保育」を運営するテンダーラビングケアサービスでは、療育や発達障がいをはじめ、保育士向けに保育の現場で役立つ無料の研修を随時行なっています。適切な保育のための知識や、子どもたちを喜ばせるレパートリーを増やしていただくためのサポートをさせていただければと思いますので、ぜひご参加ください。
※特に発達障がいについては、実技研修にて扱っています。
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都内の認可保育園にて園長経験7年、保育経験のべ30年以上のベテラン保育士。現在は研修など人材育成に注力。