泣き止まない赤ちゃんの対処法とは?泣きの理由がわかる保育士になろう!
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#日々の保育
作成日 2019/02/01
更新日 2023/12/04
泣き止まない赤ちゃんの対処法とは?泣きの理由がわかる保育士になろう!
泣き止まない赤ちゃんを抱え、毎日困惑している保育士は多いものです。泣いている理由がわからないまま、やみくもに抱いたりあやしたりしていても、赤ちゃんはいっこうに泣き止まず、ただ時間ばかりが経過してしまいます。そんな状況がいつまでも続くと、赤ちゃんも保育士も疲れ果ててしまうでしょう。
言葉を使って感情や状況をうまく説明できない赤ちゃんは、泣くことで私たち保育士に思いを伝えようとします。泣き止まないという行動で、赤ちゃんは保育士に一生懸命メッセージを送っているのです。泣き止まない理由を知ることで、赤ちゃんからのメッセージをしっかりと受けとめ、適切な対処法を考えていきましょう。
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赤ちゃんの泣きは保育士であっても手を焼く
泣き止まない赤ちゃんへの対処法は、毎日子どもとかかわっているベテランの保育士であっても頭を悩ませるものです。「赤ちゃんは泣くものだ」と感覚ではわかっていても、泣きの理由や背景をしっかり理解している保育士は意外と多くありません。まずは、赤ちゃんの泣きについておさらいしておきましょう。
赤ちゃんの泣きとPURPLE Crying Period
まだ言葉が話せない赤ちゃんは、泣くことによって不快感や要求を訴えます。赤ちゃんにとって泣きは唯一の意思表示の方法であり、しっかりと泣いているということは「生きている証」だといえるのです。
とはいえ、ずっと泣き止まない赤ちゃんを見ていると、保育士が不安になったり困惑したりするのも当然です。そんなときはまず「赤ちゃんには生後2か月ごろを中心に泣き止まない時期がある」ということを再確認しましょう。
赤ちゃんの泣きのピークであるこの生後2か月前後の時期を「PURPLE Crying Period」と呼びます。「PURPLE」という単語はこの時期の泣きの特徴を表した言葉の頭文字をとっています。具体的な内容について順に見ていきましょう。
(1)P(Peak of Crying=泣きのピークがある)
個人差はありますが、多くの場合、生後2か月ごろが赤ちゃんの泣きのピークといわれています。その後、成長するにつれて少しずつ理由のわからない泣きはおさまっていきます。
(2)U(Unexpected=予想できない)
2か月ごろの赤ちゃんの泣きは突発的に始まり、唐突に終わります。大人の理屈で考えてみても理由がわからないことが多いのです。
(3)R(Resists Soothing=なだめられない)
この時期の泣きは、保育者がさまざまな対処法で泣き止ませようとしても効果がなく、いっこうに終わりません。
(4)P(Pain-like face=痛そうな顔をする)
実際に痛いところはないはずなのに、痛そうな顔をして泣き続けるのも、この時期の泣きの特徴です。
(5)L(Long Lasting=長く続く)
泣きが1日のうちの長時間を占めます。場合によっては、5時間以上泣き止まないこともあります。
(6)E(Evening=夕方に多い)
夕方から夜にかけての時間帯に泣き続けるケースが多くみられます。
このように赤ちゃんの泣きには、ある程度共通する特徴があることを理解したうえで、落ちついて個別の対処法を考えるとよいでしょう。
赤ちゃんが泣き止まない理由を知ろう
赤ちゃんなりに理由や伝えたいことがあって泣き止まない場合には、保育士が泣きの原因をいちはやく見つけ対処法を考えることが重要です。泣き止まない原因を肉体的理由・精神的理由に分類して考えてみましょう。
肉体的理由による赤ちゃんの泣き
赤ちゃんは肉体的に感じる不快感を泣くことで訴えます。赤ちゃんが泣き止まないとき、保育士はまず肉体的理由がないかどうか確認したうえで対処法を検討しなければなりません。
● 空腹が理由で赤ちゃんが泣き止まない場合
赤ちゃんが泣き止まない理由のひとつに、空腹が考えられます。チュパチュパと母乳を探す特徴的な口の動きを繰り返している場合には、まず空腹による泣きを疑いましょう。
前回の授乳からまだそれほど間隔があいていないのに空腹を訴えて泣く場合は、哺乳量が十分でない可能性があります。体重の増減や排尿などを細かくチェックしながら、それぞれの赤ちゃんごとにミルクの量を調整しましょう。冷凍母乳で対応しているケースは、保育士と保護者がじっくりと対処法を話し合いながら、適切な授乳量を決めていく必要があります。
● 排泄が理由で赤ちゃんが泣き止まない場合
食後、赤ちゃんが不機嫌で泣き止まない場合は、おむつの汚れが理由であることが多いものです。対処法としては、保育士がこまめにおむつをチェックし必要があればすぐに取りかえ、赤ちゃんの肌をつねに清潔に保つことが大切です。
ただ、最近は紙おむつの性能が上がり、おむつがパンパンになっていても泣いて知らせない赤ちゃんが増えてきました。汚れたおむつを長時間放置しおむつかぶれを起こすと、またそれが泣き止まない理由になります。少なくとも授乳や食事のたびごとに排泄の有無を確認しましょう。
● 室内環境が理由で赤ちゃんが泣き止まない場合
体温調節の能力が未熟な赤ちゃんは、暑さや寒さが原因で泣き止まない場合があります。そのため、保育士が室温や衣服に注意を払い、子どもたちにとって過ごしやすい環境を整えてあげることが重要です。赤ちゃんの顔色を観察したり肌に触れたりしながら対処法を考え、適切な室温の維持を目指しましょう。
また、まぶしい、うるさいという理由でも赤ちゃんは泣き止みません。保育士は言葉では訴えることができない赤ちゃんの不快感をしっかりとくみとり、いつも快適な保育環境をキープするよう心がけましょう。
● 不快感やかゆみが理由で赤ちゃんが泣き止まない場合
ゲップが出ない、便が溜まっているという胃腸の不快感も赤ちゃんの泣き止まない理由のひとつです。あせもや虫刺されなどのかゆみが原因で泣き続けるケースもあります。
赤ちゃんは自分で思うように動けないため、寝ているあいだに腕が下敷きになって苦しいというだけでも対処法がわからず大泣きします。保育士はつねに赤ちゃんの様子を把握し、泣き声の奥にひそむ痛みやかゆみに敏感になる必要があるのです。
● 病気やけがが理由で赤ちゃんが泣き止まない場合
赤ちゃんの泣き止まない様子がいつもと異なるように見えるときは、発熱やけがが理由である場合があります。ときには骨折や脱臼などの深刻な原因が存在する可能性も考えられます。いつもと泣き声が違う、顔色が気になるなど違和感を覚えるときは一人で判断せず、すみやかにほかの保育士と適切な対処法を相談しましょう。
いちはやく異変に気がつくよう、普段からそれぞれの赤ちゃんの体温や哺乳量を頭に入れておくことが大切です。毎朝、保護者から預かるときに、いつもと変わったところがないかしっかりと確認しておきましょう。
精神的理由による赤ちゃんの泣き
肉体的にはなんの原因もないのに赤ちゃんが泣き止まない場合は、精神的な理由がないか検討しましょう。精神的理由による泣きは、肉体的な理由による泣きに比べてわかりにくいケースがよくあります。保育士の専門的な知識と経験を活かして、泣き止まない原因と対処法を考えましょう。
● 胎外の環境に不慣れなため赤ちゃんが泣き止まない場合
赤ちゃんが泣き止まない精神的理由として、胎外環境への適応不全があげられます。赤ちゃんにとって母親の子宮の中は、安心して落ち着ける環境でした。そこから急に外界に出されたわけですから、すぐに胎外環境に適応できないのは当然のことでしょう。
抱き方を工夫する、室内のコンディションをできるだけ胎内環境に近づけるという対処法をとりいれると、赤ちゃんは自然とリラックスできます。後述する「赤ちゃんを泣き止ませる保育士ならではのアイデアと対処法」を参考にしてください。
● 睡眠のリズムが不安定なため赤ちゃんが泣き止まない場合
大人の私たちにとっては少し不思議なことですが、赤ちゃんはうまく寝られないという理由で泣き止まない場合があります。眠れないから泣く、泣くからさらに眠れないという悪循環で、睡眠のリズムが崩れ昼夜が逆転してしまうと、保育園だけではなく、家庭での夜泣きにつながってしまいます。
保護者とも対処法を話し合いながら、睡眠時間と覚醒時間のメリハリをつけ、生活のリズムをじょじょに整えていくことが重要です。
● 不安や不満が理由で赤ちゃんが泣き止まない場合
だんだんと月齢があがってくると寂しさや不安感が理由で泣き止まないことが増えてきます。また自我が芽生え始めると、自分の欲求が聞きいれられないことへの不満感から泣き続けるケースがあります。
どちらも赤ちゃんの発達には欠かせない感情ですから、保育士の対処法としては、子どもたちの思いを受けとめたくさん抱きしめて安心感を与えることが大切です。
● 性格が理由で赤ちゃんが泣き止まない場合
赤ちゃんの顔が千差万別であるように、その性格も一人ひとり違っています。生まれつき我慢強い子どももいれば、繊細で泣き虫な赤ちゃんがいても不思議はありません。最近では、赤ちゃんが泣き止まない理由のひとつとして、エレイン・N・アーロン氏が提唱する「ひといちばい敏感な子(HSP)」という概念が重視されています。生まれつきの特性として刺激に敏感なため、ちょっとしたことで驚いて泣き始め止まらなくなってしまうのです。
このように性格が理由で泣いてしまう赤ちゃんを強引に泣き止まそうとするのは、保育士にとっても子どもにとってもストレスがかかります。保育士は、このように性格からくる理由で赤ちゃんが泣き止まない場合があることをつねに頭の片隅に置き、子どもたちそれぞれにあった対処法を考えていく必要があります。
保育士を手こずらせるコリックとは?
赤ちゃんの泣き止まない理由として覚えておきたいのがコリックです。育児のプロである保育士さえ困らせるコリックとはどのようなものなのか、また適切な対処法を検討してみましょう。
赤ちゃんが泣き止まない理由はコリックかも?
生後3か月ごろの赤ちゃんのなかには、とくに思いあたる理由もないのに、急にぐずり始め泣き止まない子どもがいます。このような泣き方を「コリック」や「黄昏泣き(たそがれなき)」と呼びます。もし先ほど述べたような肉体的理由や精神的理由がないのに赤ちゃんが泣き止まない場合は、コリックの可能性を疑いましょう。
コリックの原因はいろいろと考えられていますが、詳しいことはまだ判明していません。お腹の不快感や日中の疲れなど諸説が議論されています。黄昏泣きという呼び名のように、夕方に泣き続けることが多い一方で、ほかの時間帯にぐずり始めることもあります。
理由がはっきりとわからないため対処法にも明確な答えはありません。火がついたような泣き声が長時間続くことがあるため慣れていないと驚いてしまいますが、コリックであれば成長とともにおさまっていきます。保育士は焦ることなくおおらかな気持ちでお世話するとよいでしょう。
赤ちゃんが泣き止まなくても自分を責めないで!イライラしない保育士になる
赤ちゃんが泣き止まないと自分の抱き方や対処法に問題があるのではないかと考えてしまう保育士は多いものです。でも、赤ちゃんが泣き止まない理由は、そんな保育士の不安な気持ちやイライラにもあったのです。
保育士がイライラするとかえって赤ちゃんは泣き止まない
泣くこと以外に大人の気を引きつける方法を知らない赤ちゃんは、必死で私たちにアピールするため大きな声で泣き続けます。子どもと接するのが仕事である保育士といえども、忙しいときに赤ちゃんがまったく泣き止まないと、ついイライラしてしまったり、自分のスキル不足を責めてしまったりということもあるでしょう。
しかし、保育士がイライラすればするほどその焦りが伝わってしまい、赤ちゃんはよりいっそう泣き止まなくなってしまいます。そんなときの対処法としては、「赤ちゃんは泣くのが仕事」と心で3回唱えながら、大きく深呼吸するのがおすすめです。保育士の息づかいがゆったりとすれば、泣き続ける赤ちゃんもだんだんと落ちつくはずです。
赤ちゃんを泣き止ませる保育士ならではのアイデアと対処法
最後に、赤ちゃんをすばやく泣き止ませる、保育士ならではの具体的なアイデアと対処法をご紹介しましょう。赤ちゃんの泣きは、ひとつの原因だけではなくいくつかの理由が重なっていることが多いものです。どうしても泣き止まない場合は、ひとつの対処法にこだわらずいろいろと試してみることをおすすめします。
胎内環境を再現して赤ちゃんを泣き止ませる
泣き止まない赤ちゃんには、お母さんの子宮にいたころの環境を思い出させる対処法が効果的です。流水音やレジ袋をこすりあわせる音は、胎内音に似ているとされているため赤ちゃんを落ちつかせることができます。
おくるみでしっかりと巻いて抱きあげ、適度な揺れを与えながら歩き回るのもおすすめです。この場合、おくるみによる窒息や過度な揺さぶりにくれぐれも注意しましょう。
気分を変えさせて赤ちゃんを泣き止ませる
泣くという行動から興味をそらすことで泣き止ませる対処法もあります。泣き止まない赤ちゃんを廊下に連れ出して周りの景色を変えてみたり、横抱きを縦抱きに変えたりするだけでも気分が変わるきっかけになります。
顔に息を吹きかける、マッサージのように体をくすぐる、保育士が一人で手遊び歌を始めるという方法も効果が期待できますよ。
要求や感情を受け入れて赤ちゃんを泣き止ませる
まだ幼い赤ちゃんといえども、感情を持つ一人の人間です。泣き止まないときには、忙しいからとそのまま放置せず、まずは駆けよって目を合わせ、「あなたの気持ちはよくわかるよ」という保育士の思いをしっかりと伝えましょう。
子どもの心に寄り添い、赤ちゃんの要求や感情を受け入れる姿勢を見せることが、なにより一番の対処法だということを忘れてはいけません。
生活習慣を整えて赤ちゃんを泣き止ませる
泣き止まない赤ちゃんは毎日の生活習慣に問題を抱えていることがあります。具体的な対処法としては、日中の活動量が今の月齢にふさわしいか、授乳や睡眠のタイミングは適切かなど、保育日誌や連絡帳を参考に振り返ってみるとよいでしょう。
生活リズムが整えば、園内だけでなく自宅での夜泣きも軽減されるため、保護者からも喜んでもらえるはずです。保育士と保護者が連絡を密に取り合い協力しながら、赤ちゃんの生活習慣をあらためていきましょう。
泣き止まない赤ちゃんの対処法を知れば保育士としての自信につながる!
赤ちゃんが泣き止まない理由に気づき対処法を考えるために、保育士は普段から子どもをよく観察し変化に敏感である必要があり、これは保育士の大切なスキルです。ベテランでも手こずる赤ちゃんの泣きに適切に対応できるようになれば、保育士としてまた一歩成長できるでしょう。
また逆に、あらゆる分野で保育士としての自信がつけば、赤ちゃんが泣き止まなくても動揺することなく平常心で向きあえるようになります。
わたしの保育では実際の保育現場で役立つさまざまな研修を行なっています。もっと自分自身のスキルに自信をつけたい方はぜひともご参加ください。
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都内の認可保育園にて園長経験7年、保育経験のべ30年以上のベテラン保育士。現在は研修など人材育成に注力。