素話は保育士が身につけたい必須スキル!上手に話すためのコツを紹介
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#日々の保育
作成日 2019/02/01
更新日 2023/04/28
素話は保育士が身につけたい必須スキル!上手に話すためのコツを紹介
保育士試験の実技項目にもある「素話(すばなし)」ですが、短期大学のような指定保育士養成施設を卒業し保育士資格を取った方でも、苦手だという方が多いかもしれません。友達や家族と話をするときに「こんなことがあってね」と話しても、頭の中のイメージをうまく話せずに伝わらないことがありますよね。
ましてや素話でにわかりやすく物語を絵本もなく語りだけで伝えるとなると、もっと難しくなります。では、どうしたらわかりやすく楽しんで聴いてもらえるのでしょうか。
この記事では、素話が苦手な方のために素話のコツやポイントを紹介していきます。
目次 |
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素話(すばなし)とはそもそもなに?
素話のコツをお伝えする前に、まずは素話について紹介します。
絵本の読み聞かせと素話の違いは?
素話は、絵本や紙芝居のような子どもたちが見るものを使わず、保育士の声だけで物語を伝える方法のことです。
登場人物の気持ちに想像し、一緒にドキドキ・ワクワクしたり、怒ったり悲しくなる疑似体験することで、情操教育にもつながることは絵本と同様です。それだけでなく、言葉だけで情報を与えることで、絵本の読み聞かせよりもずっと子どもたち自信が膨らませるイメージが大きくなるため、想像力が育まれやすくなります。
素話は絵や小道具など一切使わずに子どもたちだけを見ながら話すので、慣れるまではなかなか難しいかもしれません。しかし、自分の言葉や演じ方一つで、子どもたちの表情が明るくなったり、笑ったりしてくれると喜びもひとしおです。
これから保育士として、素話の技術を学ぶためにも、子どもたちの表情や反応を見ることで「もっとこう伝えた方がわかりやすかったかな」とか「この言葉の表現は楽しそうだったな」と気づき、学べるポイントがたくさんあるので、積極的に素話を行っていきたいですね。
なお、保育士が子どもたちに話す物語の内容をすべて覚えてから、言葉や声の抑揚で物語を楽しく伝えます。しかし、絵本の内容や物語を1から10までのすべてを覚えて、話せばいいというわけでありません。
例えば、子どもの情景を思い描く力は成長過程のため、お話についてこれずに退屈してしまう子どももいるかもしれません。子どもの様子に注意を払いながら、なれないうちは保育園や幼稚園にある本や、子どもたちが知っているお話など、身近な内容を素話にするとイメージしやすいので、よりわかりやすくなります。
素話は子どもにどんな影響を与えるの?
素話の伝え方ひとつで、目の前の子どもたちはいろんな学びや体験ができます。それが子どもたちにどんな影響を与えるのでしょうか?
言葉が発達し、集中力が育つ
幼児期の教育は、生涯にわたる人格形成の基礎を担うものです。文部科学省の幼稚園教育要領の中でも、子どもが幼児期に培うべき5分野の能力が記載されています。そのうちの1つが「言葉」です。その言葉を育てるためにも素話を活用していきましょう。
言葉の習得は大人のまねから始まります。
大人である保育士が表現豊かな言葉やたくさんの語彙を使って伝える素話は、子どもたちの言葉の発達に大きく貢献します。
また、素話では絵本や紙芝居を使わないので、子どもたちは言葉のみから風景や登場人物の姿など、自由に想像力を膨らませながら物語を聞き入ります。絵本や紙芝居のように絵を見て話を聞いて、物語を理解することとは異なり、素話は人の話をしっかり聞くというコミュニケーションで大切な傾聴することを教えることにつながります。
絵本などの小道具がいらない
道具を用意する手間がないのですぐに始められ、絵本や紙芝居を選ぶ手間もはぶけます。ちょっとしたすきま時間、たとえば給食前やバスの待ち時間や、10分ほどの空いたものの活動をするには時間が短すぎるときなど、すぐに始めることができ毎日の保育活動の時間調整もできますね。
子どもたちは同じ話の繰り返しでもしっかり聞いてくれるので、短いお話からでも少しずつ覚えていけると、これからの保育活動にとても役に立ちますよ。
素話は寝かしつけのときにも使える
お昼寝のシーンでも素話は役に立ちます。絵本や紙芝居の場合、文字を読める子どものなかには、文章を読んで話す前に話を先に進んでしまう子どもや、「見えなーい!」と絵が見えないために立ち上がってしまう子どももいます。しかし、素話なら小道具を持たず、先生の声だけに集中し、落ち着いてお話を聞くことができます。
話始める前に子どもたちに「目をつぶって」と促すことで、より想像を膨らませられるかもしれませんね。素話は子どもが目をつぶったままでも話が聴け、必要であれば保育士も隣で横になりながら話ができるので、気づけば子どもたちが眠っていて、スムーズな寝かしつけができますよ。
なお、もちろんお昼寝のときにはゆっくり落ち着いたお話にしておきましょう。子どもたちがワクワクするような冒険もののお話では、眠れなくなってしまうのでご注意ください。
保育士が素話をするときのコツ
これまで素話の良さについてお伝えしてきました。ここからは実際に子どもたちに喜んでもらえるための素話のコツについてお伝えしていきます。
素話を話す前にどんな準備が必要?
実際に素話で子どもたちに上手に伝えるための注意ポイントを5つ紹介します。
● お話の流れを覚え、内容をよく理解する
●この素話を通して子どもにどんなことを伝えたいかを考える
●全員に話しかけるつもりで、ゆっくりと話す
●集中を削がないよう、ジェスチャーは最小限にする
●声の大小・強弱・高低も意識できるとなおよい
あくまでも5つの注意ポイントは心構えであって、絶対ではありません。まずは「楽しいお話を知ってるんだけど一緒に聞いて!」と、話し手である保育士自身が話すことや聞かせることを楽しむのがポイントです。(上手に話そうとプレッシャーを感じてしまうと、そのプレッシャーは子どもたちにも伝わってしまいます。)
今回紹介したポイントを参考にしながら、子どもたちにたくさん素話を聞かせて慣れていってくださいね。
素話に最適な場所や環境は?
子どもたちがゆったりと落ち着いて聞けるように、話し手である保育士はできるだけなにもない壁の前に座るとよいでしょう。なぜなら、子どもの視界になにか注意を引くものが入ると、素話に集中できないからです。せっかく小道具を持たずに話して、子どもたちの想像力を働かせて聞いてもらおうとするのに、集中できずお話を楽しめないのはもったいないですよね。話をしている先生の後ろにおもちゃ置き場や絵本を並べてあるスペースがあると、子どもたちの気が散ってしまいますので注意しましょう。
そして、園庭などでほかの園児たちがワーワーと遊んでいたり、合奏の練習などをしている時間帯は控えます。素話は声という音のみで伝えなければなりません。素話の音声が静かに聞くことができるような時間帯やタイミングにしましょう。
素話をする時間帯はいつがいい?
時間帯には、とくに決まりはありません。園の方針やその日のコンディションに応じてできるといいでしょう。
日々の保育の中で5分や10分の時間が空いてしまうことがありますよね?そんなときに短いお話であれば、ちょっとしたすきまの空き時間を利用して素話をするのもいいですね。長めの話を分割して話す場合にはお迎え前の時間にして「続きはまた明日ね」と子どもたちに期待感を持たせるのもよいかもしれませんね。いつでもどこでもできるのが素話の利点です。
素話をする上でお話の選び方
素話をするときには、内容を気にせず選んでいませんか?話の題材を考え選ぶのも、素話を楽しんでもらうための大切なポイントです。
わかりやすい言葉やストーリーを選ぶ
素話の題材は、話し手自身がお話の内容を覚えやすいものを選ぶのがいいでしょう。
絵本のように絵や文の補足がない素話は、話し手の言葉のみで物語を表現しなければなりません。それと同時に、その声や表情、場の雰囲気から物語をイメージしていきます。語り手と子どもたちの頭の中のイメージをあわせること、どちらかというと子どもたちのイメージ力に寄り添うことが、実は素話の難しいところです。
ここでおすすめなストーリーが「おおきなかぶ」や「三びきのやぎのがらがらどん」「三びきの子ぶた」のような似たような動きや場面展開が多いものです。おおきなかぶの「うんとこどっこいしゃ」やオオカミが子ブタたちの家をトントントンとノックする動きの描写を繰り返し話すことで、子どもたちもよりわかりやすく、イメージをしやすくなります。
そして、素話に慣れてきたら、声の抑揚をつけて語るだけで物語の場面の雰囲気を表現できるようになります。しかし、まだ慣れないはじめのうちは、よく知っている「ももたろう」や「シンデレラ」くらい有名なもので、話しやすいお話から選ぶようにしましょう。
子どもたちが予め知っているお話でも、声だけから聞き取る物語は新鮮に聞こえるはず。思い出しながらイメージできるので、子どもたちも理解しやすいですよ。
子どもが何を求めてるのか?共感できる内容のものか?
子どもの年齢によっては、長い話だと途中で飽きてしまうことがあります。聞き手の年齢に合うよう、今まで読んだり聞いたりしたことがある話を選びましょう。
そして、長い部分を短く要約したり、素話を簡潔にして子どもたちが頭の中で物語をイメージしやすくなるようにしましょう。
また例えば、子どもたちとのかかわりの中で、クスッと笑えるできごとや心が温まるできごとなどがありますよね。そういったエピソードも実際にクラスの子どもをお話に登場させて、ほかの子どもにもそのできごとを知ってもらうこともできます。
先生の話す素話に自分が登場したら、ただ褒めたりするよりうれしくなると思いませんか。
ひとつのお話にクラス全員を登場させるのは難しいので、登場する子どもを日替わりにするといいでしょう。「今日は誰が出てくるのかなぁ?」と期待感を持たせることができて面白いかもしれません。
今どんなことに夢中なのか?人気のアニメはなにか?など、子どもたちの興味のあることを知り、できるだけ子どもが共感できるものにしましょう。
素話のお話を覚えるコツ
素話の一番大変なところが、話の内容をすべて暗記することです。登場人物やセリフを忘れると、話の中に変な間ができてしまうこともあります。そこで素話の内容をしっかり暗記するためのコツを4つのステップでお伝えします。
1. 選んだ題材のストーリーを繰り返し読んで、あらすじを把握する。
2. ストーリーを想像し絵や漫画、映像にして、頭の中で登場人物を動かす。
3. 登場人物の動きをつかみ、頭の中でイメージをつくる。
4. 何度も子どもたちの前で語って慣れる。
大切なのは、言葉とイメージを結びつけることです。語り手である保育士がしっかりと話を理解していないと、子どもたちに伝わりません。まずは話を自分の中に落とし込んで、頭の中でアニメのように登場人物が動くイメージをして、伝えたいことを考えてみましょう。
そうすることで文章として素話を覚えることなく、登場人物の動きや感情をイメージできると物語の内容も覚えやすくなりますよ。
また話を覚えやすく、伝えやすくするためにも役立つのは、物語をできるだけ単純にすることです。よくイメージを伝えやすくするために、細かな描写を話そうとする保育士もいますが、できるだけ描写は単純に必要最低限の言葉で伝えるように工夫しましょう。
言葉が増えると覚えるのも大変ですし、子どもたちも「どういうこと?」と分かりづらくなります。ストーリーの中で必ず伝えるべき言葉や描写だけを選び、できるだけ単純にストーリーを要約するようにしましょう。
素話のスキルは子どもたちと一緒に楽しみながら伸ばしていこう
今回は素話で子どもたちにわかりやすく伝えるためのコツについてお伝えしました。
素話は道具が必要なく、給食前の少しの空き時間や送迎バスの待ち時間など、すきま時間を埋めるためにとても役立ちます。事前に物語のあらすじを覚えたり、好きなもの言葉や話し方を見つけたりある程度の経験は必要です。しかし、素話のレパートリーが多いほど子どもたちも喜ぶものです。
素話は保育士試験の実技試験にもあり、3歳児を対象とする設定で実技試験が実施されますが、実際に現場で同じ3歳児のクラスを担当するとは限りません。異なる年齢の子どもへ対応できるよう、日々練習が必要です。
ただ、保育士が一生懸命演じれば、子どもたちには伝わるもの。想像以上に子どもたちが盛り上がってくれてうれしくなることもあるはずです。そんな瞬間を目指して、楽しみながら取り組んでいきましょう。
わたしの保育では、保育現場で役立つさまざまな無料の研修をおこなっています。子どもたちを喜ばせるレパートリーを増やしていただくためのサポートをさせていただければと思いますので、ご興味がある方はぜひご参加くださいね。
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都内の認可保育園にて園長経験7年、保育経験のべ30年以上のベテラン保育士。現在は研修など人材育成に注力。