ペープサートの作り方と子どもたちが喜ぶ簡単な工夫ポイントを紹介
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#日々の保育
作成日 2019/01/18
更新日 2023/04/28
ペープサートの作り方と子どもたちが喜ぶ簡単な工夫ポイントを紹介
保育園に通っていたころ、毎月先生たちが工夫して作ってくれた人形劇が楽しみにしていた記憶はありませんか?
今回は人形劇の中でも、立体感のある人形ではなく登場人物を2枚の紙に描いて、間に割りばしをはさんだ、日本発祥のペープサート(ウチワ型紙人形劇)についてご紹介します。
絵本や素話と違い、登場人物たちが目の前で動き表情をくるくると変える様子に、子どものころは物語の中に引き込まれワクワクドキドキした経験がある方が多いはずです。今回の記事では、そんなペープサートの作り方や魅力、保育士として活用するポイントについてお伝えします。
目次 |
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ペープサートとはどんなもの?
ペープサートとは、紙に描いた絵に棒をつけて、動かして演じる人形劇です。裏と表、それぞれに絵柄を描き、ひらりと裏返すことで別の絵を見せることができるところが、ペープサートの特徴です。
江戸時代からあった「立絵(写し絵)」がもとになり、第二次世界大戦後、永柴孝堂氏(1909年–1984年)により改良されました。平絵の紙芝居と区別するためにペープサートと名付けられて、幼児向けの紙人形芝居として復活したものです。 ペープサート作家・実演家の第一人者である永柴孝堂氏によって命名された「ペープサート」という名前は、「紙人形劇=(paper puppet theater、ペーパー・パペット・シアター)」を短縮した造語です。
このペープサートは絵本とは違う魅力もあります。
書店に行けば、子どもの年齢に合わせて子どもの心をぐっと引きつけるような素敵な絵本がたくさんあります。子どもは絵本が大好きですが、ペープサートでは、平面だけの絵本では表現しきれないドキドキ・ワクワクを子どもたちに伝えることができます。
とくに年少児から年長児までの幅広い年齢の子どもを対象に絵本を選ぶの時には、お話の内容によって難しすぎたり反対に幼すぎたりと苦労します。ペープサートなら子どもたちの表情を見ながらセリフを言い換えるなど臨機応変に対応できるので、年齢を選ばず楽しめます。
ペープサートの裏と表の違う絵で感情や動作を表現することで変化を楽しめるだけでなく、絵を動かしながらお話を進めるなかで子どもは想像力を刺激され、お話の世界に引き込まれます。 子どもの興味や関心に合わせストーリーを自由に変えられるのも、ペープサートのよいところです。
ペープサートの作り方はとっても簡単
わたしの保育のマスコットテンラビちゃんのペープサート
ペープサートの材料は身の回りのもの簡単にそろえることができます。では、ここでペープサートの作り方の流れをお伝えしていきます。
まずはどんな材料を揃えるの?
基本的には画用紙、割りばし、ストロー、竹串など持ち手になる物を使用します。ペープサートは、家庭にあるものや、100円ショップで購入できるものでも簡単に作ることができるのです。
繰り返し使うことを考えたら画用紙だけでは頼りないので、台紙としてダンボールや厚紙を使うことをおすすめします。
ダンボールや厚紙で補強することで子どもたちが触っても壊れにくくなります。また、人形に小道具を持たせたり洋服部分を着せ替えたりできるため、お話の幅が広がります。
さらに、人形をより立体的にしたいときは、材料に毛糸や紙皿などを加えても面白くなります。ペープサートを折り紙で作る方法もあります。
アイデアと工夫次第でいろいろなペープサートができるので、どうすれば子どもたちの興味を引きつけられるか?子どもたちは何に関心があるのか?を考えながら材料を選んでみてください。
ペープサートに必要な道具の今・昔、インターネットを活用しよう!
ペープサートを作るための道具は、はさみ、のり、色鉛筆、絵の具、セロテープ(両面テープ)、ホッチキスが定番でした。
そして今、さらに加えたいのがインターネットとプリンターです。
ペープサートを作るとき、子どもたちが喜ぶようなキャラクターを手描きできればいいのですが、先生の中には絵が苦手という人もいますよね。これまで絵が苦手な先生は絵本やイラスト集、保育雑誌の中からお話に合うキャラクターを見つけ、拡大コピーをとって型を取り、色を塗って切って貼ってと、手間も必要でした。
でも、最近ではカワイイキャラクターをインターネットで簡単に見つけてダウンロードし、プリントアウトすることができます。とくに、急にペープサートを作る必要がある場合は、インターネットで見つけたものをプリントアウトして使えば、色を塗る手間も省けて、時間の短縮になりますよね。ペープサートのイラスト集のようなサイトもあります。かわいいイラストの動物たちや歯ブラシ、コップのキャラクターなどを無料ダウンロードすることができますよ。
インターネットでイラストを見つけることは簡単ですが、サイトそれぞれに利用規約が定められていることがほとんどですので、確認の上で利用しましょう。
以下に無料のイラストサイトの例を挙げました。ぜひチェックしてみてくださいね。
季節ごとに使える素材や生き物、こどもなど、さまざまな使いやすいイラストが見つけられます。
◆イラストAC
沢山のイラストレーターの方が参加されている無料サイト。会員登録が必要ですが、イラストの数と種類は圧倒的です。
◆イラストわんパグ
動物たちや季節のイラストがそろっています。どれもかわいらしくてポップなので、保育園での利用にはピッタリです。
行事前で忙しい時期など、準備に時間を割けないときにはパソコンとプリンターがあると早く作れます。忙しい毎日の保育の中で、少しでも子どもたちの笑顔を増やす手助けになりそうですね。
1作品を作るための所要時間
ひとつの物語の登場人物やキーポイントとなるデザインにもよりますが、1作品で8~10体作ると、2時間ほどで作れます。
イラストはインターネットからプリントアウトすることで、以前よりもだいぶ時間を短縮して作れるようになりました。もし、インターネットで画像がない場合には、イラスト集などで参考となる画像を見つけて手描きにしても、1~2時間ほどで作れます。
しかし、毎日の通常業務もあるので、1日ですべてを作るとなると大変ですよね。
例えば、1週間後に完成させる計画で1日30分くらいのペープサート作りのための時間を作るなど、子どもたちに披露する日から逆算して計画的に製作しましょう。
ペープサートを作ってみよう!
ペープサートの作り方がわかったところで、さっそく作ってみましょう!
ペープサートに適した物語の選び方
まず、作る前に大切なのは「どんな物語でペープサートをするのか?」を決めることです。
ペープサートにしやすい物語を選ぶポイントは、以下の2点です。
◆ 登場人物が少ない
◆ 物語がシンプル
登場人物が多くなったり物語が複雑になったりすると、ペープサート作りが大変になるだけでなく、子どもたちにお話の世界が伝わりにくくなってしまいます。「赤ずきん」「うさぎとカメ」のようなシンプルなお話がおすすめです。
紙に登場人物を描いてみよう
ペープサートの登場人物は、手描きをするか、パソコンからのダウンロードやイラスト集からのコピーで準備しましょう。
イラストを準備するのに大切なことは、基本的にひとつのキャラクターで2種類のイラストを用意することです。 2種類を用意することで登場人物に感情の動きをつけられるのも、ペープサートの魅力のひとつです。 正面と後ろ姿、笑顔と泣き顔など同じキャラクターで2種類のイラストを用意し、劇中にクルンと表と裏を変えて使用するのもおすすめです。
キャラクターに動きが出ると、お話に幅を持たせることができます。変化をつけるとより子どもたちの反応がよくなりますね。
割りばしに登場人物を貼り付ける
イラストが完成してしまえば、あともうひと息です!
表面と裏面の2枚とも貼り合わせやすいよう余白を残してざっくりハサミで切り、両面テープやのりを使って棒に貼るだけです。
割りばしやその代わりになるような棒に絵を貼り付けるとき、貼り付ける部分が丸かったり厚みがあったりすると、接着面が少なくなり演じている途中で絵が落ちてしまうことがあります。棒は、挟み込む部分をカッターなどで少し削り平たくしましょう。
紙同士はのりで貼り合わせますが、棒の部分は両面テープでしっかりと固定することをおすすめします。
棒を挟み込み表面と裏面を貼り合わせた後に、どうしても端が浮いてくるので、もう一度最後に残していた余白部分を切ると見た目にもきれいです。
また、あまり作られていない変わり種の作り方もあります。
2枚のイラストと1本の棒で作ることができるペープサートですが、変わり種の作り方では棒を割りばしの2倍ほどの長さを用意し、長い棒の両端に2枚ずつ、計4枚のイラストを貼り付ける方法です。
そうすることでペープサートの表と裏をクルンと変える動かし方のほかに、上下もクルンと入れ替えることで、さらにキャラクターの動きや表情が増やせます。
たとえば、ゾウさんのペープサートにニコニコとしているゾウさん、そして泣き顔、驚いた顔、怒った顔の4つのイラストを貼り付けると、ひとつのペープサートで4つの感情が表現できます。
シナリオの内容によりますが、物語にそってキャラクターにはいろいろな表情や感情の動きがあるので、表現できる幅が広げられると子どもたちにもいっそう伝わりやすくなりますよね。
4枚のイラストと長い棒を作るのが大変なら、主人公だけでもいいでしょう。
主人公にかかわるサブのキャラクターは通常の2枚のイラストと短い棒でも十分対応できますが、主人公にはいろいろな表情が出るとよいので、ぜひ参考にしてみてください。
子どもたちが喜ぶペープサートの遊び方
基本的なペープサートの作り方を紹介しました。では次に、子どもたちも一緒に喜んでペープサートが楽しめる方法をふたつ紹介します。
ふたつの方法に共通するキーワードは「参加型ペープサート」です。
方法(1)|折り紙ペープサート
子どもたちと楽しめる方法のひとつ目は「折り紙ペープサート」です。ペープサートはイラストを準備するものですが、棒に付ける登場人物を折り紙で作るという方法もあります。先生が折り紙で作るのもいいですが、子どもたちと一緒に折り紙で作るのもおすすめです。
子どもたちが作ったキャラクターをペープサートに登場させてみると、「僕が作ったゾウさんだ!」「たくみくんが作った犬さんだ!」と、子どもたちの反応もグンと上がって、ワイワイ楽しく観ることができますよね。
年少児でも簡単な折り紙の製作活動ができますし、年長児であれば折り紙を折ることから、棒に付けるまでの製作が自分でできます。ペープサート作りを保育活動に組み込んで、子どもたち自身に演じさせるのも楽しいですね。発表会などの導入に向いている方法です。
また、折り紙で作る前に子どもたちにペープサートを観てもらい、その後にペープサートのキャラクターを子どもたちと一緒に折り紙で作るのも楽しいですよ。
方法(2)|シルエットペープサート
子どもたちと楽しめる方法のふたつ目は「シルエットペープサート」です。登場キャラクターの片面を黒いシルエット状にし、「私は誰でしょう?」と子どもたちにクイズを投げかける方法です。
子どもたちもペープサートに参加でき、いつもの物語よりもワクワクしながら観ることができます。また、簡単なクイズ形式にすると小さい子でも答えやすく、異年齢を対象とした合同保育のときなどには年齢を問わず楽しめます。
シルエットペープサートのポイントは、わかりやすいシルエットにすることです。耳が特徴のウサギさんや、首の長いキリンさんのような、シルエットだけで目の前の子どもたち全員がすぐにわかるようなキャラクターを選ぶことをおすすめします。
子どもたちと一緒にペープサートを楽しみましょう
今回は、ペープサートの簡単な作り方や活用するポイントについてお伝えしました。手が込んだようなペープサートも意外と身近な材料で作れるんですよ。子どもたちと話して、どんな物語にするのか決めるのもおすすめです。ぜひ子どもたちと楽しみながら、ペープサートを作ってみましょう。
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都内の認可保育園にて園長経験7年、保育経験のべ30年以上のベテラン保育士。現在は研修など人材育成に注力。