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コラム

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#日々の保育

作成日 2019/01/04

更新日 2023/04/28

モンテッソーリ教育とは?特徴や教育内容を詳しくご紹介


保育園や幼稚園の中には、モンテッソーリ教育法を実践している園があります。幼児教育の授業でも出てくるワードですが、詳しく説明できない方や、具体的な内容を覚えていない方もいるでしょう。
ここではモンテッソーリ教育の歴史や理念、モンテッソーリ教育の施設で働く際の心構えなど、就職を検討している方に知っておくと役立つ情報を詳しくご紹介していきます。

モンテッソーリ教育とはどのようなことをするの?特別な資格がいるの?などの疑問を解決することが保育士としての判断力向上につながります。
モンテッソーリ教育の施設に就職するべきか悩んでいる方、教育法に興味のある方はぜひ参考にしてみてくださいね。

目次


モンテッソーリ教育とは


ここではモンテッソーリ教育の始まりや理念、どのような施設なのかをご紹介します。


モンテッソーリ教育の歴史


モンテッソーリ教育は、20世紀初頭にイタリア初の女性医学博士であるマリア・モンテッソーリによって考案された教育法です。

モンテッソーリ教育は当初、彼女がローマの精神病院に勤務していたときの障がい児に向けた教育法でした。その後、「障がいを持つ子どもの教育だけに限定されない」と考えたことから、健常者向けの保育施設で一般的に適用され、教育界に大きな影響を与えました。
100年以上経過した今もなお、この教育法を実践する施設が多く存在しています。


モンテッソーリ教育の理念・目的


モンテッソーリ教育での考え方は、「子どもの生まれながらの自身を成長させる能力、発達させる能力を親や教師は汲み取り、自由の保障と自発的な行動を援助する役割を果たさなければならない」とし、「他者への思いやりを持ち、一生学び続ける姿勢を持った人間を育てること」を目的としています。


モンテッソーリ教育施設「子どもの家」とは


1907年にモンテッソーリが貧困層の健常児を対象に「子どもの家」をローマに設立しました。
日本では1960年代に紹介されて以降モンテッソーリ教育を実践する子どもの家や、モンテッソーリ教育を取り入れた幼稚園や保育園などが設立されています。

子どもの家とは以下の「整えられた環境」の要素を満たした施設です。

・子どもが自由に教具を選べる
・子どもがおもしろそうと思える教具がある
・3歳の幅を持つ縦割り保育編成
・教師は子どもの自己形成を助ける



モンテッソーリ教育の5つの分野とは


モンテッソーリ教育では、3歳から6歳までを「意識の芽生え」の時期としています。この時期は、ある特定のものごとに対して強い感受性を出す「敏感期」と呼ばれ、さまざまな経験を無意識に吸収しながら自己形成していきます。

モンテッソーリ教育では、敏感期の子どもが興味を示すような教具を用い、独自の活動をおこなう時間があります。その時間は「お仕事」と呼ばれ、5つの分野に分かれています。一つひとつ見ていきましょう。


日常生活の練習


大人の真似をしたがる「模倣期」と敏感期の中の「運動の敏感期」を利用し、身体を意志の通りに動かすための練習をする分野です。

ボタンを掛ける、洗濯をする、包丁で切るなどの生活に密着した活動を学びます。教具は子どもが使いやすいサイズに配慮しますが、本物と同じ素材(ガラスや陶器など)でできているものを使用します。
正確なやり方を教えて練習していくと、じょじょに依存した状態から自立につながります。


感覚教育


3歳を過ぎるころは、小さな音を聞き取ったり匂いや味の微妙な違いを区別できたりする「感覚の敏感期」にあたります。

この時期には感覚器官を意識して使用する感覚教育をおこないます。
感覚教育に使用される教具には、「対にする」「段階づける」「分類する」の操作法が位置づけられています。大きさの異なる10個の立方体を積み上げていくピンクタワー、円柱を大きさや高さが合う型にはめていく円柱さしなどの教具が代表的です。


言語教育


言葉は「言語の敏感期」に自分の周りで話されている言葉が母国語として獲得されますが、環境によって言葉の質や量は左右されます。

モンテッソーリ教育での言語教育では、絵と文字が描かれたカードを合わせる「絵合わせカード」や、50音が1枚に1文字ずつ書かれたカードを組み替えて言葉を作る「50音並べ」などの教具を使い、語彙力や文法なども学びます。


算数教育


モンテッソーリ教育ではただ、数字を見ながら覚えるのではなく、たとえば実際にその数量のビーズを用いた立方体を見て触れた感覚で数量を学びます。
これらは感覚教具の延長として使用するので、スムーズに受け入れられるようになっていて、十進法や四則演算の学習などを含みます。


文化教育


世界地図パズルや太陽系惑星の模型、時計などの教具を用いながら、言葉や数以外で子どもが興味を示す分野を幅広く対象としています。具体的には音楽、美術、歴史、地学、動植物などの総合学習とも捉えられます。



教師は子どもたちをサポートする援助者

モンテッソーリ教育での教師は、教える人ではなく導く人としての役割があります。子どもは自分自身で教える力である「自己教育力」を持ち合わせています。そのため教師は、かかわり方を提示し続けることが大切です。

子どもに間違いがあっても、すぐに指摘したり活動を妨げたりせず、温かく見守ります。集中して取り組んでいる様子が見られれば最適な活動を提示できたと判断します。
集中できず理解できない様子が見られても、子どもを責めることはしません。最適な提示ができていなかったと教師が反省し、子どもには劣等感や失敗感などを持たせないようにします。

子どもが必要としているものを観察、察知、理解できる確かな目が必要です。



モンテッソーリ教育における教師の心得12か条

モンテッソーリ教育には、教師における実践上の心得が12個あります。どれもモンテッソーリ教育には重要な事柄ばかりなので詳しく見ていきましょう。


1.環境を整える

一人ひとりの子どもをしっかりと観察し、精神的発達段階を理解し、最適な環境を整備することで間接的に子どもを導きます。


2.教具やものの取り扱いを正確にはっきりと提示する

教師は有益な指示を一言で与えられるように繰り返し練習しておき、子ども自身に何も課さないことが重要です。そのため教具や、ものの取り扱い方を順番にゆっくりわかりやすく説明します。


3. 子どもがその環境との交流を持ち始める前は積極的に、交流が始まったら消極的に接する

周りに気を配りながら、仕事に集中しているときにはむやみに話しかけずに温かく見守り、観察します。


4.探し物をしている子ども、助けを必要としている子どもに対して、忍耐の限界を見守る

サポートが必要な子どもにすぐ駆けつけるのではなく、そのタイミングを注意深く観察して見極めます。


5.子どもに呼ばれたら必ず行く

子どもが教師を頼ってきたら、必ず行くようにします。信頼関係を築くためにも大切です。


6.子どもに誘われたら要求をよく聞き、言葉で表せないようならば気持ちを汲み取る

要求をよく聞き、耳を傾けます。自分の気持ちを言葉でうまく表現できない子どもでも、気持ちを上手にく汲み取ってあげるようにします。


7.仕事に集中している子どもを尊重する

仕事をしている子どもに話しかけて集中を妨げることがないように配慮します。


8.間違っていてもあからさまに訂正しない

教師から直接指摘せず、同じことを繰り返すうちに子ども自身が気づくのを待ちます。ときには仕事を並行でおこなわせ、自然に間違いに気づかせるよう仕向ける場合もあります。


9.休息している子どもを無理に再開させない

仕事を休息している子どもや、ほかの作業の観察に集中している子どもには、注意したり再開を促したりせずそのままにしておきます。


10.作業が理解できない、拒む子どもには忍耐強く誘い続ける

本人が、興味を持って仕事を始めるまでは温かく見守りながら忍耐強く誘い続けます。


11.教師のことを探す子どもには、存在感を感じさせる

子どもは教師から見守られているという安心感があると、自然に教師から離れていきます。


12.仕事を終えた子どもに教師の姿を見せるようにする

子どもは教師から見守られているという安心感があると、自然に教師から離れていきます。



モンテッソーリ教育の施設で働くには資格は必要?

モンテッソーリ教育を取り入れている保育園や幼稚園で働きたい場合、保育園なら保育士資格、幼稚園なら幼稚園教諭資格をそれぞれ持っていれば応募できることがほとんどです。
しかし、モンテッソーリのディプロマ(免許状)を持っていれば、採用が優遇される場合があります。日本ではいくつかの場所で資格が取得でき、国内外で通用するものや日本国内のみで認定されるもの、独自発行されるものなどさまざまです。

モンテッソーリ教師の資格を獲得するには、おもに以下の3つの団体があります。

・国際モンテッソーリ協会(Association Montessori International=AMI)
・日本モンテッソーリ協会(Japan Association Montessori=JAM)
・日本モンテッソーリ教育綜合研究所

この後それぞれの概要を説明しますが、取得できる資格の種類が異なるのでどのような性質を持った資格を獲得したいかを事前に確認しましょう。

このほかにもモンテッソーリ教育を学べる場所や独自の資格獲得ができる場所があるので、興味がある方は調べてみてくださいね。


国際モンテッソーリ協会(AMI)


国際モンテッソーリ協会(AMI)では国際資格を取得することができます。
1929年、モンテッソーリ教育の創設者、マリア・モンテッソーリが設立した協会です。
教師の質を重要視した彼女は、国際モンテッソーリ協会と教員養成コースを開設し、モンテッソーリ教師資格取得制度を整えました。AMIは教員養成が大変厳しいことでも知られています。しかし国際資格なので、日本のみならず、世界でモンテッソーリ教師として働くことができます。日本では東京国際モンテッソーリ教師トレーニングセンターで受講できます。


日本モンテッソーリ協会(JAM)


1968年にモンテッソーリ教育原理と実践を研究、普及を図ることを目的として発足しました。 日本モンテッソーリ協会は、国際モンテッソーリ協会に友好関係団体と承認されています。日本モンテッソーリ協会の資格は、世界では使えず日本でのみ認められる資格です。東京モンテッソーリ教育研究所の教員養成コースを履修し試験に合格すると、ディプロマ(免許状)を授与されます。ほかにも京都、広島、福岡、長崎などにある公認施設でも受講が可能です。


日本モンテッソーリ教育綜合研究所


日本モンテッソーリ教育綜合研究所教師養成通信教育講座は、通信教育でモンテッソーリ教育の資格を取得できます。4月から始まる講座では、送付されるテキストや必読図書を利用して、自宅でレポート提出やスクーリングに備えて学びます。8月に8日間おこなわれるスクーリングに出席し、科目によってはレポートを提出します。合格すると単位取得ができる仕組みです。

教師養成通信教育講座は卒業まで最短2年の「2歳半~6歳コース」と、最短1年の「0歳~3歳コース」の2種類があります。それぞれ理論科目と実践科目で構成され、履修科目数は「0歳~3歳コース」で17科目、「2歳半~6歳コース」で16科目を学びます。講座修了者またはその年度の卒業見込みでの資格取得希望者は、3月下旬に資格試験をおこないます。ただし、日本モンテッソーリ教育綜合研究所が独自に発行する資格証であるため、公的な資格とは性格が異なります。



モンテッソーリ教育の特徴を知り、就職に活かそう!

モンテッソーリ教育を取り入れている保育園や幼稚園は日本でも多くあります。就職を考えている園がモンテッソーリ教育を取り入れているなら、モンテッソーリ教育の特徴や教師のあり方などをしっかり確認し、理解しておくことが大切です。就職後も迷わず的確に実践することができるでしょう。
モンテッソーリ教育ならではの「教師は教える立場ではなく、温かく見守り、子どもの自発性を重んじサポート役に徹する」という考えに共感でき、より専門的な知識を獲得したい場合は、資格取得という選択肢もあります。モンテッソーリ教育について更に深い理解が得られますよ。

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監修者 PROFILE
コラム監修者 和氣 タイ子 Waki Taiko
都内の認可保育園にて園長経験7年、保育経験のべ30年以上のベテラン保育士。現在は研修など人材育成に注力。

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