パネルシアターの作り方―基本から楽しいしかけまでわかりやすく解説!
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#日々の保育
作成日 2022/12/19
更新日 2023/08/17
パネルシアターの作り方―基本から楽しいしかけまでわかりやすく解説!
さまざまな物語や音楽に合わせて、人形たちが動いたり踊ったり――パネルシアターを演じるのは、ネル布(パネル布)を張ったボードの上。そこで自由自在に動き回る人形たちに、子どもたちの目は釘づけになります。
パネルシアターで展開される一つひとつの動きやしかけには、子どもたちを夢中にさせる力があります。
しかし、パネルシアターの魅力は、観る「楽しさ」だけにはとどまりません。子どもたちと対話し、その反応を見ながら演出を変えることで、子どもはますます積極的になり、その世界にのめり込んでいくのです。
積極性や集中力を養うという意味でも、保育上の大きなメリットがあると言えるでしょう。
ここでは、パネルシアターの持つ力と、その作り方・楽しい演出方法などをまとめてご紹介していきます。パネルシアターに挑戦したいという初心者はもちろん、さらにステップアップした演出方法を知りたいという方向けに詳しく紹介しています。
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目次 |
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パネルシアターってどんなもの?
パネルシアターとは、特殊な布で覆われたパネルボードのうえで展開する人形劇のこと。ここで用いられる人形は、Pペーパーという特殊な不織布で作られており、パネルボードと呼ばれる特殊な台にぴたっと貼りつくようになっています。
この人形を物語や音楽に合わせて動かし、貼ったりはがしたり、特殊なしかけを使って演じることで、子どもたちが驚いたりリズムに乗ったりして楽しめるのが、パネルシアターの魅力です。
さらに、人形から子どもたちに質問を投げかけたり、話しかければ、演じ手と子どもとがやりとりする「コミュニケーションの場」にもなります。
ここではまず、パネルシアターの魅力と可能性について、解説していきましょう。
パネルシアターでこんな楽しみ方が
子どもが最後まで飽きずにパネルシアターを楽しめるのは、視聴者参加型の人形劇であり、子どもの目には手品のようにも映るしかけの数々があるから。ちょっとしたしかけでも、目の前で演じられる不思議な世界に子どもたちは興味津々になります。
パネルシアターを演じれば、パネルボードの前に懸命に寄ってきて、その不思議な動きを自分の目でしっかり確かめようとしたり、演じ手と楽しそうにやりとりしたりと、子どもが高い関心を持っている様子が見てとれます。
一度製作した人形はさまざまな劇に流用できますし、蛍光塗料を使って塗った人形をブラックライトで照らすブラックライトシアターなどへ応用することも。そのときどきの場面に合わせてさまざまな演出ができるのは、パネルシアターならではの楽しみ方でしょう。
保育に活かせるパネルシアターの魅力
保育の現場によくパネルシアターが取り入れられているのは、ただ単に、「子どもが楽しいから」「子どもが喜ぶから」だけではありません。パネルシアターを見ること、パネルシアターの世界に自ら参加することで、子どもたちの成長に寄与すると考えられているからです。
パネルシアターの中では、子どもたちがその物語に参加し、物語を紡いでいく役割を与えられることがあります。子どもたちが、そこで発言したり歌ったりすることで、それぞれの「表現する能力」「積極的に参加する姿勢」が育っていきます。
さらに、予想外の活躍をする人形や変化に富んだ演出を見ながら、子どもたちは、次の場面を予想する「想像力」や、物語の世界に入り込む「集中力」などを身につけていきます。また、自分もこんな物語を作ってみたい、皆の前で演じてみたいといった「表現への意欲」をかきたてられる子どもたちもいるのです。
パネルシアターは、子どもたちの発達状態に応じて多様なアレンジができる人形劇です。パネルシアターを通じて、その年齢に即した能力を楽しく伸ばせます。こうしたメリットを、ぜひ保育に活用してください。
パネルシアター製作に欠かせない材料・道具は?
パネルシアターを製作するためには、パネルシアター用の特別な材料が必要です。大きな文具店や手芸店、書店などに行かなければ手に入らないものもありますが、最近ではネット通販で簡単に購入できるようにもなりました。
初めてパネルシアター作りに挑戦する場合は、必要な材料をひととおりそろえるところから始めなければなりません。ここに記した材料をそろえながら、パネルシアターのイメージをふくらませていきましょう。
パネルシアター製作に必要な材料や道具をそろえよう
まず、パネルシアター作りに欠かせない材料を紹介します。
・鉛筆(人形の下書き用)
・絵の具(人形の色塗り用)
・油性フェルトペン(人形のふちどり用)
・はさみ(人形の切り取り用)
さらに、基本の人形作りからステップアップし、しかけを作りたい場合は、
・接着用ボンド(しかけ用)
・カッターナイフ
などが必要になります。
また、一から物語を作ったり人形をデザインしたりということが難しい場合は、パネルシアター用の型紙が収録されている書籍を購入すると便利です。パネルシアター製作の初心者には必須のものでしょう。
材料をそろえるときはここに注意!
三菱製紙販売の製品であるMBSテックなどに代表される「Pペーパー」は、パネルシアターの創始者・古宇田亮順氏によって名付けられたもの。大型文具店やネットで手に入れることができますが、そこで初心者がよく頭を悩ませるのが、厚口と並口のどちらがよいかということです。
これは、Pペーパーの厚みの違いであり、これによって、重ねたときの透けやすさ、丈夫さ、価格などが異なります。
並口のPペーパーの場合、価格が安いのがメリットですが、素材の薄さがデメリットにもなります。並口のPペーパーを使って人形を作り、それらの人形を重ねる演出をすると、下の絵が透けてしまうこともあります。
さらに、厚口と比較すると強度も弱くなっています。
厚口のPペーパーの場合は、厚みがあり、人形を重ねても透けません。さまざまなしかけをつけて壊れにくいところもメリットです。しかし、並口に比べると価格が高いのがデメリットと言えるでしょう。
パネルシアターの作り方―基本ステップから
材料をそろえたら、実際にパネルシアターの製作に入ります。基本のステップを順序立てて紹介していますので、まずは人形をひとつ作ってみましょう。
型紙を拡大コピーしよう
大型書店では、パネルシアターの型紙や台本が収録された書籍が販売されています。初心者の場合は、書籍に載っている型紙を使って人形を作るのがおすすめです。
ただし書籍では、型紙はたいてい縮小されています。まずは作りたい人形の型紙を拡大コピーします。拡大コピーの際に大切なのは、どのような場面でパネルシアターを演じるかによってその拡大率を変えることです。
大人数を相手にするときは、指定より大きめに拡大することをおすすめします。
型紙をPペーパーに写し取ろう
つづいて、この型紙をもとにパネル人形を作ります。
パネルシアター用のPペーパーは、型紙に重ねるとしっかり下の線が透けて見えるので、それをトレースするのは簡単です。鉛筆で型紙通りの線をPペーパーに写し取りましょう。
絵の具で色をつけていこう
Pペーパーに写し取った人形に彩色するのが、次のステップです。
ベタ塗りすると子どもたちにもわかりやすい絵柄ができあがるため、ポスターカラーやアクリルガッシュの使用をおすすめします。ポスターカラーを使うと、少々はみ出したとしても上から色を重ねて修正可能です。
台本や型紙の色サンプルを参考に着色することもできますが、自分なりの配色でもまったく問題ありません。
絵をきれいにふちどろう
Pペーパーに着色したあとは、鉛筆で書いた線に絵の具がはみ出していることもあります。次のステップは、絵の具のはみ出し部分をきれいにふちどることです。
見栄えをよくするため、マジックを使って、絵の輪郭をきれいにふちどりましょう。ふちどりに油性のフェルトペンを使う場合は、ふちの太さが変わらないよう、筆先が丸いものを選ぶのがポイントです。
パネル人形を切り取ろう
マジックできれいにふちどったあとは、パネル人形を切り取る作業です。
なるべく余白を残さないのがポイントですが、絵が細かい部分などをきれいに切り取ってしまうと、演じている途中で人形が折れ曲がってしまう恐れもあります。人形が折れ曲がりそうなケースでは、型紙の段階で余白を残すように指示されていますので、その指示にしたがってください。
パネルボードに必要な材料と作り方
パネル人形の次は、パネル人形の舞台となるパネルボードを作りましょう。パネル人形の特性を活かすパネルボードの準備には、さほど特別な材料は要りませんし応用がききます。手軽に作れますので、人形劇に合わせて何種類が作っておくのもよいでしょう。
パネルボードづくりの材料
パネルボード作りの材料としては
(パジャマなどにもよく用いられており、手芸店で購入可能)
・発砲スチロール、ベニア板、プラスチック段ボールなど
(サイズ通りにカットしてくれるホームセンターでの購入が便利)
などが必要です。
ネル布は、綿織物を起毛した生地のことで、通常の手芸店などで簡単に手に入ります。片面だけ起毛している片面ネル、両面が起毛している両面ネルの2種類がありますが、どちらでも使用できます。
パネルボードの作り方
発砲スチロールやべニア板、プラスチック段ボールなどにネル布を張りつけ、生地がぴんと張っているのを確認してから、板の後ろ側で固定します。固定する際は、ガムテープなどで十分です。
用いるネル生地が片面ネルの場合は、外側に起毛面がくるように注意しましょう。
また、収納しやすさなどに考慮し、製作の段階から折りたためるような工夫があればなおよいでしょう。
パネルシアターの型紙などが収録されている書籍には、パネルボードの作り方も掲載されています。
演じたい人形劇や演じる場所によって、パネルボードの大きさなども異なりますので、サイズの選定に悩んだ場合は、ぜひ参考にしてみてください。
パネルシアターで子どもをあっと驚かせるしかけづくり
基本のパネル人形、パネルボードの準備が整ったら、演じられる物語や歌に合わせて、いろいろなしかけができるように工夫してみましょう。子どもたちがあっと驚いてくれたら大成功です。
ここでは、基本的なしかけから応用編まで、しかけの数々を幅広く紹介 しています。どんどん新たな表現・しかけに挑戦し、表現の幅を広めてください。
しかけ初心者でも大丈夫―裏返しや重ね貼り
まずは、パネルシアターにおける基本のしかけをマスターしましょう。 パネルシアターを演じるうえで欠かせないテクニックのひとつに、「裏返し」があります。これは、厚口のPペーパーで作ったパネル人形を2枚木工用ボンドで貼り合わせて、人形を裏返しすれば違う絵柄が出るようにするものです。
ぱっと裏返すことで、場面転換をしたり、人形の表情を変化させたりできるようになります。
もうひとつ身につけておきたい基本テクニックが、「重ね貼り」です。
これは、Pペーパーの人形のうえにさらにもうひとつ人形を重ねてつけるというものです。Pペーパー同士を重ねても、くっつかずに落ちてしまうので、貼りたい人形の裏面にネル布を貼っていきます。
ここでこんなふうに動くなんて―切り込みと糸止め
つづいては、子どもたちが「ここでこんなふうに動くなんて」と驚くようなしかけを作りましょう。 そのひとつが、パネル人形の身体に切り込みを入れ、そこからものを取り出すといった「切り込み」のしかけです。これは、パネル人形の裏にネル生地で作った袋を作り、そのうえに作った切り込みから出し入れするというもの。
さらに、パネル人形の身体のパーツ(手やしっぽなど)を別々に作り、糸で玉止めして固定する「糸止め」があります。物語に合わせてパーツごとに動かす「糸止め」も、人気のしかけです。
出でも差をつけて―引っ張りとずらし貼り
演出の応用としてぜひマスターしてほしい方法のひとつが、「引っ張り」です。これは、パネル人形に玉止めした糸をパネルボードの裏に垂らしてそっと引っ張ることで、パネル人形が演者の手を借りずに動いているように見せるというもの。
太陽が昇る、曲に合わせて音符が次々に現れる、トンボなどがたくさん出てくるという演出に利用できます。
さらに、何枚かのパネル人形を重ねて手に持ち、それをさーっとパネルボードに広げていく方法が「ずらし貼り」です。手のひらに収まるようなサイズのパネル人形をどんどん広げていくと、子どもたちの目には不思議な手品のように映ります。
パネルシアターに気軽にチャレンジするために
パネルシアターの初心者には、パネル人形作りは一見難しそうにも見えますが、その基本ステップを理解すればそれほど難しいものではありません。
基本の材料と道具をそろえ、子どもたちの喜ぶ顔、驚く顔を思い浮かべながら丁寧に作業すれば、自分で思い描いていた以上に簡単にできあがるはず。
演じることに慣れてくれば、さまざまな演出方法にチャレンジしたいという意欲も湧いてきますよ。
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都内の認可保育園にて園長経験7年、保育経験のべ30年以上のベテラン保育士。現在は研修など人材育成に注力。